内容説明
本書は更級日記の全文を詳しく解釈することを目的として作ったものである。本文は皇室御蔵藤原定家卿自筆更級日記の錯簡を訂正したもの、即ち昭和14年5月5日刊行の玻瑠版本「御物本更級日記」を用いた。
感想・レビュー
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Sara Nagai
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物語の世界に憧れる作者の一生を綴った作品なのだが、自分を見ているようで面白いと思う反面、他人事と思っては読んでいられなかった。特に好きなのが二一の乳母の死の『ちる花もまた来む春は見もやせむやがて別れし人ぞこひしき』という歌と四三のあらましごとにある「光源氏のような人が一年に一度でもいいから自分を訪ね、自分は浮舟の女君のように山奥に隠し住まわせられて美しい自然を見ながら嬉しい手紙を時々いただけるという身分になりたい」という記述である。今から九百年以上も前の人にもこんなに共感できることがある、ということが感動2013/08/27