内容説明
伝統的な塗装彩色材料・技術の系譜の解明・再評価をもとに、建造物に対する安定した修理施工や保守管理方法の策定を提示する。
目次
序論(本書の目的;本書の調査方法;本書の構成)
本論(基礎編(文化財建造物に使用された塗装彩色材料の基礎研究)
応用編(文化財建造物における塗装彩色修理に伴う調査事例))
結論(本研究の成果(まとめ)と今後の課題)
著者等紹介
北野信彦[キタノノブヒコ]
1959年名古屋市生まれ。1982年愛知大学文学部史学科卒業。(財)元興寺文化財研究所保存科学センター主任研究員、くらしき作陽大学食文化学部准教授、(独)国立文化財機構東京文化財研究所保存修復科学センター伝統技術研究室室長および東京藝術大学大学院文化財保存学連携教授などを経て、龍谷大学文学部教授。博士(学術:京都工芸繊維大学・史学:東京都立大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
6
2022年2月刊。歴史的建造物はどのような塗料を用いて彩色されていたのかを、採取した試料のX線解析によって詳細に明らかにした研究です。慈照寺観音殿が近世に「銀閣」と呼ばれるようになると、銀を表現するために白川の白色粘土を使っていた(銀箔は酸化黒変しやすいので)とか、寛永期に再建された清水寺奥院には東南アジア産の漆塗料が使われていたとか、彩色から明らかにされる世界の拡がりにも驚かされます。昔の塗料だと砒素とか水銀とかヤバめの材料も使われてるんですが、当時の職人さんは知らずに体張ってたんですね。2022/10/07