内容説明
「日刀保たたら」とは、戦後、高まりゆく日本刀の原料供給への要望に応え、(公財)日本美術刀剣保存協会が復活させた“文化財”である。本書は、四半世紀以上この現場に従事した著者だからこそ感得できた「たたら製鉄三原理」の中に、行き詰まった近代科学「思想」からの打開策があるという刺激的な思考に満ちた一書である。
目次
第1章 鉄と鐵のできるまで―近代製鉄とたたら製鉄(近代製鉄での鉄の製造過程―高炉法での製鉄;たたら製鉄での鐵の生成過程―たたら炉での製鉄 ほか)
第2章 文化財保存技術としての「日刀保たたら」とそれを支えた歴史(選定保存技術としての日刀保たたら;日刀保たたらの周辺環境とその意義 ほか)
第3章 たたら製鉄の盛衰から見る近代科学―「姑息」「幼稚」「未開」から平準化へ(たたら製鉄を否定した近代製鉄―「姑息・幼稚・未開」;幕末期からたたら製鉄の終焉まで ほか)
第4章 たたら製鉄三原理から再考する近代科学―三・一一とコロナパンデミックを題材に(コロナパンデミックと「わからない」ことの重要性;たたら製鉄が現在の我々にもたらしてくれるもの ほか)
著者等紹介
黒滝哲哉[クロタキテツヤ]
公益財団法人日本美術刀剣保存協会学芸部たたら・伝統文化推進課課長。刀剣博物館学芸員。1962年神奈川県に生まれる。1992年日本大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程単位取得退学。国立国会図書館非常勤職員などを経て現職。東京理科大学大学院・日本大学文理学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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