内容説明
伊勢神宮はいつどのようにして成立したか。成立時期、成立地、成立要件をめぐって議論百出する「伊勢神宮」―その解明に考古学はどこまで迫れるか。内宮神域出土滑石製模造品や高倉山古墳など神宮関係の考古資料を南伊勢の考古学的状況のなかへ位置づけることから、神宮創祀の実相に迫る。
目次
第1章 神宮成立をめぐる研究史と論点
第2章 神宮成立に関する考古学的論点
第3章 アザカ山とサルタヒコ―伊勢の在地信仰の可能性
第4章 南伊勢の古墳時代―首長墳の消長とその背景
第5章 神島と多気郡―神島・八代神社所蔵品をめぐる諸問題
第6章 考古学からみた伊勢神宮の成立
第7章 伊勢神宮からみた考古学
終章 伊勢神宮と仏教浸透―伊勢大神宮寺から経塚造営
著者等紹介
穂積裕昌[ホズミヒロマサ]
1965年三重県生まれ。1989年同志社大学文学部文化学科文化史専攻卒業。2012年同志社大学にて博士(文化史学)学位取得。現在、三重県埋蔵文化財センター主幹(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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伊勢神宮の成立過程を、考古学的な手法から探った労作。 広く南伊勢全体の古墳時代~古代の様相を押さえることで、伊勢神宮につながる祭祀施設の成立を大化前代と想定している。切り口と論の展開が色々と面白い。宝塚古墳群の船形埴輪や神島の神宝などは知っていたものの、それらを関連付けて本書のような見方ができるのかと目から鱗が落ちる。文献史学や文学でも様々な議論がある主題に対して一石を投じるものとなっている。 また、祭祀という考古学的に説明の難しい事項の検討に当たって、一つの方法論を示してくれており、参考になる。2019/05/01