内容説明
日本と韓国、それぞれの食文化史を比較しながら、当時の文献を丹念に辿ることで「焼肉の誕生」を明らかにする。
目次
第1章 焼肉の歴史(朝鮮半島の焼肉前史;日本の焼肉前史 ほか)
第2章 内臓焼肉の歴史(戦前日本の内臓料理;内臓焼肉の誕生)
第3章 焼肉の普及と発展(焼肉の発展―日本編;焼肉の発展―韓国編)
第4章 日本と韓国の焼肉比較(焼肉の歴史;共通点と相違点)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ようはん
16
肉を自分で焼いて食べるスタイルはジンギスカン料理の影響から来ている等、ただ単に朝鮮半島から日本に焼肉文化が伝わった訳でなく日本と朝鮮半島それぞれの焼肉文化の独自の発展や相互の影響も面白い。2021/01/08
ののまる
5
お腹空くなあ2024/03/09
あらたま
4
「焼肉の文化史」で焼肉・内臓料理は戦後、朝鮮半島出身者が広めた、という通説に資料(戦時中の物価統制令に内臓が含まれている等)を基に異を唱えた著者。続くこちらは更に詳しく日本の焼肉料理<店>の発祥を考察。肉や内臓は元々日本人も食べていたけど、肉と内臓を一緒にメニューに載せたり、店員でなく客が焼く日本式焼肉料理店は、朝鮮半島・中国大陸の人・食文化が混淆した時代ならではの産物と。日本の焼肉は日本人が作った、ではない。2014/12/29
wang
2
日本では韓国料理と考えられている焼肉。だが、韓国で食べられる焼肉と日本のそれはちょっと違う。その誕生を丹念に料理本や古いメニューなどを収集して解き明かした労作。韓国生まれのカルビ焼きやプルコギが朝鮮併合後に大阪に来た移民らによって持ち込まれ、ジンギスカンなどの日本の食文化と融合し日本式焼肉が生まれ、それが半島に帰って韓国風にアレンジされる。朝鮮宮廷料理の文化の影響もあるし、日本でホルモンが安価であったということから内臓焼肉が流行したのも影響。両国焼肉の違いも面白い。ホルモンの名前の起源も。2020/03/30
みのるん
1
前著『焼肉の文化史』では、焼肉誕生についての当時の通説の誤りを指摘したものの、「では、焼肉誕生の真実はどのようなものか」という点がきちんと語られることはありませんでした。その点に正面から挑んだのが本作です。「戦前に在日朝鮮人によって生み出された精肉焼肉が戦時中に一旦滅んで、戦後復活するものの精肉が手に入りにくかったので内臓を使うようになった。やがて精肉が復活し、精肉と内臓を共に出す現在のスタイルの焼肉になった」という本書の概略は、一部証拠が不十分と思われるものの、概ね妥当であるように思います。2024/03/19