内容説明
映画『戦場にかける橋』に描かれた泰緬鉄道の真実とは―。タイ国立公文書館に眠る当時の機密文書をはじめ関係諸文献から浮かび上がるその実像と歴史的背景。
目次
南方へ向かう日本鉄軍道隊:泰緬鉄道道建設計画
ビルマ占領とタイとの建設交渉
泰緬鉄道は軍用か民用か
鉄道隊の組織と建設基地
タイ人労務者とバーンポーン事件
連合国捕虜
捕虜の行軍と労働
疫病に倒れる捕虜
タイ国内外のアジア人労務者
クラ地峡横断鉄道
泰緬鉄道完工のころの日本軍・捕虜・労務者
泰緬鉄道の運行と機能
戦後の泰緬鉄道と戦争裁判
著者等紹介
吉川利治[ヨシカワトシハル]
1939年大阪市生まれ。1962‐64年タイ国立チェラーロンコーン大学文学部留学。1963年大阪外国語大学タイ語学科卒業。1964年大阪外国語大学タイ語学科助手。1985年大阪外国語大学地域文化学科タイ語専攻教授。1987‐89年京都大学東南アジア研究センター客員教授。1994‐95年東南アジア史学会会長。2002年タイ国立シンラパコーン大学文学部客員教授。2005年大阪外国語大学名誉教授。2009年タイ国アユタヤで急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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isao_key
4
公開された膨大なタイ語による一次資料をひとつひとつ丹念にあたって、日本側の資料と照らし合わせて書いた吉川先生渾身の著作。先生でなければできない丁寧な調査と仕事ぶりには脱帽します。戦争のむごさに加え、当時の日本軍が決してほめられたことをしていなかったことがわかります。自軍の扱いもひどかったが、捕虜に対する扱いはなおさらのようでした。現在のタイと日本の友好は多くの犠牲の上に成り立っていることを教えてくれる一冊です。2012/05/17
くまパワー
2
アジア・太平洋戦争期日本占領下の東南アジアについて、泰緬鉄道は極めて重要な問題である。日本軍政政策、日タイ同盟の交渉、連合国捕虜やアジア労務者の強制労働また戦後で議論した戦争暴行に関する戦争責任。やはりいくつ小さいな問いが繋がってる。吉川先生はタイ国立公文書館所蔵のタイ語文書に基づき日本側や連合国側の資料を合わせて分析した。本の中も一次資料直接引用し極めて役立ってる。最後に提出した「戦陣訓」と「近代の超克」論は意味深い、泰緬鉄道の建設は明治時代以来の近代化の帰結と軍国時代の精神と具現するもの。2022/11/14
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