内容説明
国定忠治、清水次郎長をはじめ、時代劇にもしばしば登場するやくざ。意外と知られていない江戸時代の博徒のしきたり、風習、生活のほか、丁半と賭場、股旅の暮らし、親分・子分・兄弟分の盃、のちに彼らが世話になる江戸の牢獄など。詳細な解説で読者を江戸博徒の世界にいざなう。
目次
博奕・やくざ・高市の沿革
江戸中心の博奕
丁半と賭場
旅人
上州長脇差と貨幣経済
親分・子分・兄弟分
八州廻り・目明し・道案内
明治以降の与党・野党の博徒
テキ屋の裏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
in medio tutissimus ibis.
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初めに苛斂誅求と封建制が一発逆転と絶対服従の気風を産み、それこそがやくざを産むのだと著者は喝破する。けだし慧眼である。ここにあるのは語源や符丁などのやくざの文化的な研究だけではなく、その生業である賭博を成立させる貨幣経済の浸透やその取り締まりを危うくする財政的地理的要因、時に二足の草鞋を履き取り締まる側に回ったり親分子分の関係を結んだりする政治的力学である。江戸時代に思いをはせ、あるいは自ら悪所に赴く向きには無論、そうでない人にとっても今日の己の生活を成り立たせるものへの興味深い気づきを得られる事だろう。2020/05/29