内容説明
尾張名古屋藩の下級武士・朝日文左衛門重章が、十七歳から四十四歳に至る二十七年間に書き記した日記『鸚鵡篭中記』。藩内の動静、ゴシップ、家庭不和、火事天災、芝居見物などの記録は、元禄時代の社会状況を明らかにするばかりでなく、現代の人々の暮らしにも通じる下級武士の日常を、生き生きとよみがえらせる。
目次
元禄時代の世相と日記(日記の題名について;日記が世に出るまで;当時の政情と尾張藩の内情;筆者の朝日文左衛門重章;公私の生活と家族友人 ほか)
『鸚鵡篭中記』朝日文左衛門の日記(元禄七年;元禄八年;元禄九年;元禄十五年;元禄十六年 ほか)
感想・レビュー
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diet8
1
朝日文左衛門(1674-1718)の日記。この頃武家で畳が普及しだして出来た、歴史の浅い御畳奉行という奉行の中では最下級の職。結局娘1人しかできず朝日家は潰れた。人間は、本質とは関係ない所に気を使いながら一生を潰すものだ。●下女に堕胎させるなどしないで男子でも産んでいれば違った。寂しい、あまり幸福でない一生を終えたようだ。●娘は格上の武家へ嫁ぐが、先妻(下女?)の息子を育てる。息子を産むが他家へ養子に出し、先妻の息子が家督を継ぐ。が問題起こし追放(?)となる。●印鑑が公文書で使われだしたのはこの時代。2017/03/11
feodor
1
江戸時代元禄・宝永期の尾張藩に仕えた下級武士、「御畳奉行」の役職にあった朝日文左衛門の日記。そんなに注釈は多くなくて、もう少し豊富にあってくれてもいいな、と思う。 元禄期なので、生類憐みの令に関する記事が散見。そして、三面記事的なものが多い。なんだかんだと心中が多い。そして、朝日文左衛門が大好きな人形浄瑠璃の題材になるものもその中にはある。三代藩主綱誠の妻・本寿院が乱行によって江戸から戻されたりして、その記事もおもしろい。宝永の富士山噴火、忠臣蔵関係の記事もあった。 気になったのは、誤字(誤植)の多さ。2011/01/20