内容説明
音楽家がベスト・コンディションでステージに立てるよう心を砕き、小沢征爾氏、岩城宏之氏らの全幅の信頼を得、カラヤンに付き添った男が放つ笑いあり涙ありの心あたたまる読み物。
目次
第1章 みなさん、ありがとう
第2章 画期的な音楽ホールを
第3章 マエストロ・カラヤン・トイトイトイ!
第4章 思いつくままに
鼎談 サントリーホール三代のステージマネージャー大いに語る(宮崎隆男;上原正二;猪狩光弘)
著者等紹介
宮崎隆男[ミヤザキタカオ]
昭和2(1927)年東京生まれ。戦後のGHQチャペルセンターでの、現N響メンバーによるティータイム室内オーケストラにスタッフとして参加。26(51)年近衛秀麿氏のオーケストラ設立にともないステージマネージャーとなり、近衛管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団のステージマネージャーを勤め、61(86)年4月サントリーホール初代ステージマネージャーに就任。平成3(91)年のサントリー退職後は、水戸室内管弦楽団ステージマネージャー、紀尾井ホール・ステージアドバイザー。平成3年新日鉄音楽賞特別賞、13(2001)年第7回ニッセイ・バックステージ賞を受賞
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感想・レビュー
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のっち♬
101
オーケストラやコンサートホールのステージマネージャーを長年勤めた著者の仕事記録。それは自分勝手な人ばかりの「音楽家がベストの状態で演奏できるよう」に気配りを重ねる日々。バレンボイムやシノーポリの気まぐれに右往左往し、階段嫌いのミュンシュを押し上げ、カラヤンに休日を奪われる。この器量の由来が浮き上がる座談会も読み応え十分。危うい楽器集めやの貨車輸送、関連者のタダ聴き要求、更にはヤクザとの交渉や飲み代立替えとなんでも屋扱い。彼らは裁量が効く範囲の広さがやり甲斐に繋がるようなバイタリティ溢れる人たちなのだろう。2021/09/24
ほたぴん
8
せっかく高いお金を払ってコンサートに行くからには、編成の大きいマーラーやブルックナーを聴きたいと思うのですが、そこにステージマネージャーの大変な苦労があること、この本で知りました。いつもニコニコとステージに登場するマエストロ達の、背中を押すという仕事も、裏方として最上級の責任と誇りあってのもの。コンサートの見方が変わります。2011/05/23
tohoho
4
日本初となるサントリーホール専属の初代ステージマネージャーの記録として、内外のマエストロ・ソリスト達が最高の状態でステージに立てるよう最善を尽くし、自信をつけさせ、信頼されて感謝される関係の裏には、オケ?の下の力持ちとしての大変な苦労が窺える。そうした折々のエピソードが紹介され、クラシックファンとしては裏話を垣間見ることとなり、なかなか面白い。2011/02/20
fu-ko
3
こんな職業があるとは知らなかった。知力、体力を限界まで使うだけに上手く行ったときの喜びも大きいだろうなあ。羨ましい職業ではある。カラヤンのエピソードを読んで惚れ直しました。2009/10/30
おだまん
2
サントリーホールリニューアルのこのタイミングで読めてよかったです。ステマネさんがいなければホールはただの箱ですから。2017/09/05