内容説明
岡っ引から奉行所同心。大工から鏡磨ぎ師まで。人気時代小説を華やかに彩る、江戸時代の「仕事人」100の職業。
目次
第1部 遊芸・娯楽(花魁・女衒―吉原手引草(松井今朝子/幻冬舎文庫)
貸本屋―枕絵師・英泉(伊藤榮/双葉文庫) ほか)
第2部 職人・技人(絵馬師―逃げ水半次無用帖(久世光彦/文春文庫)
鏡磨き師―ご隠居さん(野口卓/文春文庫) ほか)
第3部 生活・諸事(岡っ引・水茶屋―銭形平次捕物控(野村胡堂/嶋中文庫)
駕籠屋―深川駕籠(山本一力/祥伝社文庫) ほか)
第4部 流通・商業(菓子商―まるまるの毬(西條奈加/講談社文庫)
鰹節商―商人(ねじめ正一/集英社文庫) ほか)
第5部 武家社会(内与力―はやぶさ新八御用帳(平岩弓枝/講談社文庫)
江戸留守居役―三人の留守居役(松本清張/『江戸なごり雨』学研M文庫所収) ほか)
著者等紹介
岡村直樹[オカムラナオキ]
1948(昭和23)年、東京生まれ。慶應義塾大学卒。旅行作家。文学、音楽、映画、歴史、絵画、鉄道などを切り口に文化諸相を掘り下げ、とりわけ江戸文化、川文化などに造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
23
江戸時代の仕事を娯楽、職人、生活、商業、武家社会の5章に大別し、合計102の仕事について解説した本。しかもそれぞれの仕事の説明の中に、その仕事を題材にした小説が1〜3冊ほど紹介されているので、ブックガイド的な役割も果たしてくれて、とてもお得感がある。やっぱり江戸時代というのはなんだかんだ言って、とても安定した庶民の時代だったということがわかるし、だからバラエティに富んだ物語が生まれるんだと思う。ここで紹介され興味が湧いた職業が沢山あって、今度はこの本を片手に本屋に直行だ!!そのためにも文庫化熱望!2021/10/16
さぁとなつ
18
江戸は何故賑わったのか? それは江戸の町を他の町と比べると①男やもめが圧倒的に多い単身者文化の町であったこと②江戸の町はしばしば大火に見舞われたこと③江戸の町はベネツィアに比肩しうる水上都市であり水上交通が盛んであったこと 等があり、江戸らしい稼業が栄えたのだそう。有名な時代小説とともに、江戸に暮らした人々の息づかいが生々しく伝わってくる。時代小説、時代劇そして落語を今後より深く楽しめる一助となる本である。2024/02/10
toshi
18
時代小説を職業から紹介すると言う変わった視点の本。ある作品からその主人公または重要な登場人物の職業に焦点を当てて、作品の紹介と職業の解説から成り立っている。紹介されている職業は100業種。「必殺仕事人」は無いけれど「公事宿」のところでそれらしい職業がちょっと登場する。「女掏摸」とか「浪人」と言ったこれは職業じゃないだろうと言うものもある。目の付け所は面白いけれど、作品の紹介と職業の解説と言うことでどちらも中途半端で、物足りない。この場合は職業解説に重点を置いて、タイトル通りの内容にした方が良かったと思う。2018/07/18
サケ太
14
時代小説から江戸時代の人々の家業を紹介するという本。文章や内容にも触れており、形を変えた時代小説紹介本といえる。『雷電本紀』、『ご隠居さん』、『物書同心居眠り紋蔵』など面白い作品も多い。これは読まねばならぬ。2018/08/25
ひねもすのたり
10
【Kindle Unlimited 】 100作の時代小説に登場する100の職業を解説した本。 山本周五郎の『さぶ』を取り上げて前半で作品の解説。後半ではさぶの職業である経師屋について解説をするといった体裁です。 時代小説をお読みになる方はもちろんですが、時代劇や落語がお好きな方ならサブテキスト的な使い方が出来るかもしれません。 ただ作品の解説に関してはネタバレ気味かも? 定町廻り同心って南北両町奉行所に6人ずつしかいなかったそうで、藤田まこと演じる中村主水はそこそこエリートだったのかもしれません。★42019/12/10