内容説明
若いときから山案内人を務め、人跡未踏の奥地に登山道を拓き、登山者の安全を願って山小屋を建てるなど、南アルプスの開拓に尽力した翁の全生涯。
目次
第1章 熊撃ち名人
第2章 山案内人
第3章 北沢峠
第4章 樺太東北山脈
第5章 登山道開拓
第6章 山の語り部
著者等紹介
松尾修[マツオオサム]
1960年、福岡県北九州市生まれ。名城大学土木工学科卒業。国土交通省中部地方整備局より伊那市役所に出向し、現在、建設部長。登山歴は30年を越え、手種アルパインクラブ(名古屋市)、伊那山仲間(伊那市)の両山岳会に所属し、年間を通してロッククライミング、積雪期バリエーションルートの登攀などで活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
12
明治以降、黎明から興隆を迎える南アルプスにてその発展に身を捧げた竹澤長衛翁の物語。登山をやる人間ならば必ず耳にする人物だが、人生を追った伝記を読むと改めてその事績の詳細と偉大さが知れる。貧しく困難の多い明治に生まれ、同時代の多くの日本人がそうだったように困苦をものともせず真摯な情熱と心優しさで自らの人生と南ア登山を切り拓いた姿にただ感動する。登山から見る近現代史とも呼べる一冊で、昭和16年当時に海軍省山岳会が日本有数の山岳会として活動していた事実や日本領樺太探検山行など知られざる出来事も多数収録の良書。2015/10/25
clover
0
猟師だから、命のやり取りとその行為の深さを知っている、山の中で生かされてその大いなる恵みを知っている、そのような経験に基づく知恵とそれを使いこなす賢さ、行動力、強さがある。そして、人柄も申し分ない。こんな格好いい男、めったに存在しないよ。会ってみたかった。そうしたら、私はきっと山小屋に通いつめる常連になっただろうな。2016/01/08