内容説明
『山と溪谷』07年1月号~09年3月号掲載のリレー・エッセイ「言葉ふる森」を中心に個性豊かな現代作家ら29人によるエッセイ・紀行30編。
目次
はじめのひと滴(寮美千子)
愚行の人(栗林佐知)
帰途(堀江敏幸)
西寧―ラサ チベット高原鉄道二千キロの旅(篠田節子)
山の目じるし(佐伯一麦)
ムンマジュムンの棲む森(出水沢藍子)
失われた時代の思い出(梨木香歩)
山が持つ二つの貌(熊谷達也)
知床の森のクマ(立松和平)
クライミングジム体験記(大倉崇裕)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
18
ハイキング気分の登山ではなく本格的な登山をする作家さんが多い事に驚いた。作家さんも体力仕事なんだなぁと。立松さんの知床の森のクマはやはり地元北海道ネタだから余計に心に踏み込んできた。自然界での暮らしのルール。いつの間にか忘れてしまっている人間。森の中には自然と人間のルールがどの作品にもアチコチに散らばっている。表現の美しいエッセイで目の前に山がある・・・そんな気分に浸らせてくれた。隙間時間に読むにはサイコーだった。2010/07/08
しおり
12
沢山の作家さんによる山のエッセイ。複雑骨折の為ヘリコプターで救助された笹本さんや北海道で動植物を訪ねた梨木さん、等々 色々な思い出。加藤則芳さんの「ミューア・マジック」はあまりの偶然の産物にマジックとつけたタイトルに納得です。2017/12/04
yamakujira
3
29人の作家による30編の山にまつわるエッセイ集。山の文章ではなじみの名前もあれば、あさのあつこ、川上健一、堀江敏幸、万城目学といった意外な作家も、そして失礼ながら知らない名前もあって多士済々。期待したより「山度」は低いけれど、それぞれの「山」が楽しめていいね。いちばん旅心をくすぐられたのは梨木香歩「失われた時代の思い出」かな。「帰途」「山の目じるし」「山が持つ二つの貌」「知床の森のクマ」「民衆史のなかの山」「離島を登れ!」「山が呼ぶとき」「山との日々」「地獄・極楽」などもよかった。 (★★★☆☆)2015/07/08
カワセミ440
3
山登りが趣味です、なんて言うほど登ってる訳じゃないけど山登り(所謂ハイキング)は楽しい。むか~し友人と二人で登った尾瀬の燧ケ岳は山頂からの眺め、尾瀬沼に感動したな。登山道の見晴らしが良くなかったせいもあって、止めようって途中何度も思ったんだけど。至仏山に6月登った時は雪渓で滑落しそうになったり(今は登山禁止期間らしい)ガスに巻かれて遭難しそうになったり・・。去年の木曽駒は天気に恵まれて二日間快晴。無謀な計画じゃなけりゃ楽しく過ごせるんだけどね。山渓のエッセイ、だから面白い。今年はリベンジで至仏山に登山だ!2014/03/31
こまったまこ
2
著名な作家たちによる山のエッセイ集。山小説でおなじみの方や「え?こんな人が?」と意外な作家たちが、山にまつわるご自身の体験などを素敵な文章で読ませてくれます。全く知らなかった作家の素敵なエッセイに出会いその作品に興味を持ったり。山という共通のテーマでこれだけ色々な角度から焦点を当てたお話を読めるのは楽しかったです。一人あたりのページ数が少ないのが残念です。皆さんの山や自然での体験がその後の著作に影響を与えていると推察されるのが面白いです。2011/12/13