内容説明
登山家たちが実話として綴った異界の「山」の物語。斯界の雄・東雅夫の選による未曾有のアンソロジー。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県生まれ。雑誌「幻想文学」の編集長を創刊から終刊まで二十一年間にわたって務める。現在は、怪談専門誌「幽」の編集顧問、怪奇・幻想文学の評論家として活躍。2011年には『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
山に関する怪談集。前作が作家たちの山の怪談集だったのに対して、本巻は実際の岳人たちによる実話系が中心となっている。とはいうものの収められている作品の大半は大正から昭和初期の物が中心、妖怪、幽霊果てはツチノコまで現在の実話系とは一風変わった駘蕩たる作品が多いように思える。山中での体験談や現地で集められた話も興味深いが、特筆すべきは一章かけて「木曽の旅人」系の話が集められている事。綺堂による別バージョンから、インスパイアされたと思しき作品まで多数集められている。山中の渺茫たる霊気を思い出すような一冊であった。2017/12/19
いちろく
52
タイトル通り、超常現象や心霊現象の話題も少なくない。収録されているネタが、明治から昭和初期の頃の話が中心であり、心が凍る怪談話よりは、人が理解できない現象中心の話題という印象。ここだけの話、東雅夫さんの最後の解説が1番興味深かった。 2018/01/24
澤水月
30
大杉栄に走る前の伊藤野枝がダダイスト辻潤ともうけた子、辻まことの文があり驚いたが山に造詣深かったんだな。百名山の深田久弥、夢枕獏、岡本綺堂ら畏怖、好奇心や遭難者らへの共感あるものは楽しめたが幾つか完全にバカにし茶化す文混じるのは本書に採録する意味を図りかね非常に難儀、不愉快。選者のスタンス反映なんだろうな…河出の岡本綺堂ら山怪談アンソロの方も読んで判断したい。2017/12/08
たいぱぱ
23
遠野物語のような話が多く面白く読めた。けど奇談傑作選というタイトル通り傑作選ではないような・・・。筆者による最期の解説が結構面白かったりする(笑)。2018/02/14
HaruNuevo
16
怪談を楽しみたい人には少し違うのかもしれない。 山にまつわる幽霊話、山男、雪女、野槌とツチノコはたまたヒマラヤの雪男まで山に住まう異形のモノの話、そして作家が記した山の怪異譚、戦前までの話が多い。 山という物理的に巨大な存在、山に分け入る時の隔絶感、気候の厳しさ、そういったことを考えると、古来より日本人が抱いてきた山への畏怖感の一端を感じ取ることができるような気がする。2024/02/13