目次
日本の渓谷(五十沢川―三国川/巻機山;海ノ溝谷―川浦谷川/奥美濃;滝ハナ沢―北ノ又川/越後三山 ほか)
台湾の渓谷(恰堪溪―壽豐溪/光頭山;鹿寮溪―卑南溪/尖石山;馬霍拉斯溪―拉庫拉庫溪/馬博拉斯山 ほか)
CANYONING(剱沢―黒部川/北アルプス 日本;赤谷川―利根川/谷川連峰 日本;アイシポップ川―忠別川/大雪山 日本 ほか)
著者等紹介
大西良治[オオニシリョウジ]
1977年、愛知県江南市生まれ。沢登り歴24年。19歳のときに沢登りを始め、22歳のときにソロ(単独行)に目覚める。以後、現在に至るまで日本の沢の大半はソロで遡行。同時にクライミングにも傾倒し、ボルダリングでは四段、ルートでは14aを登る。ほかにキャニオニングなどにも勤しむ。クライミングのルートセッターを生業とし、ゆくゆくはクライミングのガイド業も行なう予定。日本山岳・スポーツクライミング協会ルートセッター、日本山岳ガイド協会フリークライミング・インストラクター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マリリン
52
遡行地図の読み方に触れておいてよかった。行くなら単独と感じた写真が多い渓谷登攀。写真から壁に向き合う気持ちの変化が伝わり、パーティならではの記録も、単独の記録もそれぞれの魅力を感じる。那智の滝事件は本で読み知ったが、同じメンバーも加わり登攀した恰堪渓(チャーカンシー)や、鹿尞渓(ルーリャオシー)の記録と写真は小さく写っている人間から緊迫感や臨場感が伝わってくる。山の規模は小さく認知度は低いもののゴルジュの風格は一級品という大雲谷や、アイシポップ川、不動川や池ノ谷ゴルジュ等は自然が創り上げた美を感じる。2021/12/17
hatayan
46
熟練のパーティーが入念に準備してようやく立ち入ることが許される渓谷を概ね単独で踏破。大滝や激流を含んだルートの概念図、美しさと険しさを併せ持つ写真、物静かななかに確かな情熱を潜ませた記録文を収録。国内でひととおり困難なルートを辿った著者の目線は海外へ向かい、10日以上沢で過ごさなければ抜けられない台湾、ニュージーランドの渓谷が異次元のスケールで迫ります。より特別な世界は、より困難の先にある。希うのは、心の強さに打ち勝ち、すべて自己完結できる力を得ること。「冒険」の息遣いを胃が痛くなるほどに伝える一冊です。2020/10/03
けんとまん1007
35
以前、登山はしていたが渓谷の経験はない。それでも、この凄さは感じられる。写真が素晴らしいし、ただ事ではないという感じ。まさに、心技体が一流でないと、難しい!2020/08/01
なる
24
クライマーである作者がこれまでに登ってきた国内外の渓谷における沢登りの記録を写真と共に残している。自ら最適なルートを見つけて遡行して行く困難さ、困難の先にある特別な世界への探究心と比例するように跳ね上がる命を失うリスク。そしてそれらは単独行として実施される。その中でも特筆すべきなのは48日間にわたり挑み続けた称名川の遡行。21世紀に入っても人類がたどり着いたことのない日本最後の地理的空白地帯として最後まで存在した称名廊下。それを初めて踏破した偉業に多くの紙面を割いており、その困難さは想像を絶する。2023/07/11
taku
17
この場所にいたら、その威厳や荒々しさに圧倒され、その美しさや神秘性に心を奪われるだろう日本と台湾の渓谷、滝。そこを登攀する大胆不敵、最近読んだ宮城公博氏の著書で“天才・最強”と称されていた沢ヤ、大西良治氏。沢登りとキャニオニングの豊富な写真や遡行図を含めた記録は、技術、体力、精神力を磨きながら挑戦を続けた最強沢ヤの冒険の書。見応え読み応え十分。この世界に足を踏み入れたら抜け出せなくなるのかもしれないな。2021/12/27