出版社内容情報
今回、新たに発見された捜索隊・佐藤中尉の「佐藤書簡」と倉石大尉の「倉石手記」――。
捜索隊の新事実をもとに再構成された青森5連隊と弘前31連隊の大量遭難の全貌に迫る。
本書は、新たに発見された「佐藤書簡」と、これまであまり注目されなかった「倉石手記」を軸に、青森の歩兵第5連隊と弘前の歩兵31連隊の行動を比較させながら、八甲田山遭難の全体像を描く。
特に、今回明らかにされた捜索隊の佐藤中尉の書簡から、2年下の下士候補生の参加に対し、山口少佐と口論になり本人が不参加となったこと、予行行軍がなかったこと、村人から出発を延期するよう進言されていたこと、大崩沢と田代元湯での救出状況など、新たな事実が明らかにされていく。
「はじめに」では佐藤書簡が発見された経緯にふれ、第1章「虚構と真実」で佐藤書簡と倉石手記による事実の掘り起こしを詳述。
第2章「第八師団と雪中行軍」で師団創立の過程と雪中行軍の実施状況を検証し、第3章「雪中行軍の準備」で、いかに杜撰な準備、装備に欠陥があったかを描いている。
第4章「両部隊の明暗」では雪中行軍の核心部分、1月20日から2月2日以降まで14日間の両隊の動向を一日ごとに時系列で比較検討して、本質を明らかにしようとする。
第5章「山口少佐の死因」では山口少佐の自殺説と暗殺説を分析、遭難原因と黒溝台会戦までを記述。
佐藤書簡をもとに八甲田山遭難の全貌が明らかにされる。
内容説明
五連隊の捜索隊として、遭難後、初めて田代新湯に入った佐藤秀雄中尉―。会津の父親に宛てた書簡が発見され、そこには捜索状況など、新たな驚愕の事実が綴られていた。青森五連隊と弘前三十一連隊の行動を比較させながら、八甲田山遭難の全貌を描く。「八甲田山」シリーズの第3弾。
目次
第一章 虚構と真実(津軽;新田次郎と『吹雪の惨劇』 ほか)
第二章 第八師団と雪中行軍(軍備拡張と師団の創立;ライバル意識)
第三章 雪中行軍の準備(因縁の五連隊と三十一連隊;捏造された予行行軍)
第四章 行軍部隊の饗応と彷徨(一月二十日 三十一連隊行軍開始;一月二十一日 五連隊行軍準備開始 ほか)
第五章 山口少佐の死因と遭難原因(自殺説と暗殺説;原因は将兵の訓練不足)
終章
著者等紹介
伊藤薫[イトウカオル]
1958年、青森県に生まれる。元自衛官。青森の第5普通科連隊、青森地方連絡部などに勤務。そのため、当時の青森や津軽の事情にも通じている。2012年10月、3等陸佐で退官。その後、八甲田山雪中行軍事故の研究と執筆に専念し、その成果が『八甲田山 消された真実』(2018年)に結実した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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