内容説明
穂高連峰や笠ヶ岳など北アルプスの飛騨側で、登山者の安全を守り遭難者の救助に命を賭ける「登頂なきアルピニスト」たちがいる。
目次
第1章 穂高常駐(山岳遭難救助の要、穂高常駐;困った登山者たち)
第2章 新隊員の決意(初出勤の思い出;救えなかった命 ほか)
第3章 救助活動への熱い思い(記憶に残る遭難救助;「繋いだ」ろ思った命 ほか)
第4章 ヘリコプター・レスキュー(ヘリコプターによる遭難救助;最終等着地は「家族の許」 ほか)
第5章 警備隊員の心意気(山の救助に携わって教えられたこと;警備隊員に求められるもの ほか)
第6章 御嶽山の噴火(御嶽山の噴火と救助活動;現場で指揮をとることの難しさと責任)
第7章 後方支援(「北アルプスの守り」に徹する隊員たち;任務を全うして、ひとりでも多くの遭難者救助を ほか)
第8章 北飛山岳救助隊と山小屋(警備隊とのスムーズな連携;組織力を活かした事故防止の取り組みを ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Miki
11
「大好きな山で死んではいけない。だからわれわれは命を繋ぐために全力を注ぐ。」職務とはいえこの使命感、山をやっている者にとっては本当に頭が下がります。それに引きかえ御嶽山救助の章、小屋に避難していた20数名の登山者のうち、ヘッデンを持っていたのがたった数名、雨具も所持していなかった者もいたという事実。いくらロープウェイを使う黒沢口からだからって、3000m級を何だと思っているのか。「たかだかニ、三十年の経験なんて、山のなかではなんにもなりませんよ。」とは穂高岳山荘小屋番宮田八郎さんのお言葉、重みがあります。2015/11/13
じじちょん
5
山岳救助隊の手記をまとめた本です。新人やベテラン隊員たちの経験した出来事が語られています。淡々とした語り口ですが、厳しい救助の様子が伝わります。 御嶽山噴火の様子も書いてあり、記憶に新しかったです。 隣接する県とも臨機応変に対応している場面を読み、現場での連携プレーの素晴らしさを感じました。2017/04/28
Humbaba
5
自然に立ち向かうときには、どれほど準備をしたとしてもしすぎるということはない。一つ一つの道具が短縮してくれる時間はそれほど大きくないとしても、その少しの時間が生死を分けることもある。危険が大きい仕事であるのは確かだが、それによって救われる人もまた確実に存在する。2015/12/19
Narumi
3
山岳地帯を持つ県の警察に山岳警備隊というパトロールや救助を行う部隊があることを初めて知りました。日本アルプスが岐阜県にあるということをそもそも知らなかったような…。現場の方の書かれた文章で構成されているのでプロの文ではありませんが、その分、仕事内容や仕事をされている方の心情がよくわかります。わりと新しい本なので、14年の御嶽山噴火のときのことも書かれています。2019/08/05
みゃん
2
良かった。とくに方言が。2019/06/01