内容説明
山を舞台に多くの傑作を生み出した作家・新田次郎のエッセー・紀行集。故郷信濃への思い、富士山の人と自然、旅と取材紀行、ヨーロッパ・アルプスの旅、作品論、教育論、日々の随想など、幅広い作品から作家の山岳・自然観、創作の背景をたどる。単行本・全集未収録作品を中心に52篇を収録。
目次
1 故郷信濃
2 富士
3 山を思う
4 旅と取材
5 ヨーロッパ・アルプスを歩く
6 創作を巡って
7 日々の随想
著者等紹介
新田次郎[ニッタジロウ]
1912年、長野県諏訪郡上諏訪町(現諏訪市)に生まれる。本名藤原寛人。旧制諏訪中学校、無線電信講習所を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1966年、気象庁を退職し、文筆に専念。1974年、「武田信玄ならびに一連の山岳小説に対して」吉川英治文学賞受賞。1979年、紫綬褒章受章。1980年2月、心筋梗塞のため逝去。正五位勲四等旭日小綬章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
16
新田次郎さんらしい格調高くも情感豊かな文で綴るエッセイ集。諏訪生まれで幼い頃から人生に影響した故郷信濃の山への随想に始まり、若き日の職場である富士山の厳しい自然や今昔、気象の仕事や執筆の取材で赴いた沖縄を始め日本や海外各地での見聞、日常の話題などをもとに山や自然、文化を混えた鋭い洞察が展開される。富士山頂での気象観測に先鞭をつけた夫を支えた芙蓉の人・野中千代の壮絶な覚悟から自身の祖母の気高さまで振り返って考える明治女性の偉さの文章は現代にも通じる普遍性に満ちている。忍従の中に主張の強さを持った、という見解2021/04/30
サリーママ
10
山の小説で有名な新田次郎さんの歳時記の続編。古い話しだけれども、リアルな山の話しは面白かった。前作も読んでみたくなった。2022/06/10
あきひと
3
故郷の諏訪、いや信濃と言ったほうが良いかやヨーロッパアルプス、気象庁、創作の背景などのエッセーであるが、日記に近い内容も多いと感じた。どれも生真面目で丁寧に書かれていて作者の育ちの良さ、人となりが分かる一冊になっていると思う。昭和30年ころから50年ころまでに書かれたものだが、なぜだか古さを感じないエッセーが多く不思議です。2021/01/19