内容説明
昆虫や鳥を呼び寄せ、厳しい環境に適応するために咲く花。人間の生活を豊かにし、ときに歴史を大きく動かしてきた花。それぞれの花が知恵と工夫で生き抜く姿を、愛あふれるまなざしで語る植物エッセイ。
目次
春(人々を魅了してやまない一瞬の美しさ―サクラ(バラ科)
田んぼ一面に咲く花に隠された共生関係―レンゲ(マメ科) ほか)
初夏(美しく複雑な形はハチを呼ぶ戦略―ハナショウブ(アヤメ科)
名前と分類に翻弄されても美しく咲く―アヤメ(アヤメ科) ほか)
夏(世界初の麻酔手術に使われた花―チョウセンアサガオ(ナス科)
日本の寒さになじんで愛される南米の花―ペチュニア(ナス科) ほか)
秋(ピンクの語源になった花―ダイアンサス(ナデシコ科)
中国でも重用される草木の中の君子―キク(キク科) ほか)
冬(もともと香りのなかった内気な花―シクラメン(サクラソウ科)
本当はクリスマスが似合わない植物―ポインセチア(トウダイグサ科) ほか)
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士、植物学者。農林水産省、静岡県農林技術研究所を経て、現職。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
64
「生き物の死にざま」を読んで著者に興味をもち手にとった。世の中には様々な花があり、色や形、大きさもさまざま。花の数だけ咲き方があり、物語がある。身近な47の花の生きざまの物語をイラストを交えながら紹介。冷蔵庫が似合うヒヤシンス、投機の対象になったチューリップ、世界初の麻酔手術に使われたチョウセンアサガオ、宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」にでてくるカンパニュラ等が印象に残った。身近な不思議に気付かせてくれる1冊。2022/08/24
Shoji
42
面白かったです。草木の種の保存のための戦略、例えば、いかにして合理的に受粉するか、いかに外敵から身を守るか、といったことが分かりやすく解説されています。それ以上に興味を持ったのは、花の歴史というか出自。例えば、葬祭の場に菊が選ばれる理由、毒花と思っていた花や球根の意外な効用、日本原産なのに海外で脚光を浴びて凱旋帰国した花、などなど。たのしいウンチクが満載でした。園芸に何の興味もない私が楽しめた一冊でした。2020/08/25
青雲空
7
ちょこちょこ呟きたくなるほど面白い本でした。ぷらださん、ありがとう。 江戸のアサガオの話、とても興味惹かれた。冬咲く花の生存戦略も見事。同じ作者の別の本も読んでみたくなります。 2022/09/11
なをみん
2
2022/05/18 ポイント還元424円。雑草本で見かけて以来、何冊か読んでる安定の著者の花特化本。お馴染みの花がほとんどだけど、お花の紹介画像はモノクロのイラストなのkindleで読めた。生存戦略とか分類とか歴史とか、花の話いろいろ。花のことを知るのは想うのは、とても良い気分。2022/07/23
検尿泥棒
2
稲垣英洋7冊目。植物の生き残るための戦略がすごい。道端に生えている雑草にもそれぞれ戦略があって自分の仲間を増やすことに成功していると思うとこの本を読んで知ることができて良かったなあと思う。アザミを会社に行く途中に見つけたかもしれない。特に印象に残ったのはやっぱりチューリップがバブル経済を作った話しで著者の他の本でも出てきたけど毎回チューリップの話しは読んでてなんだか面白くなってくる。この本で初めて知って好きになったのはポインセチア。葉っぱを赤くして花に見せかけるという作戦が見た目も綺麗で良いなぁと思った。2020/08/05