出版社内容情報
美しい海に囲まれ、独自の時を刻み続ける鳩間島。そこに暮らす人々との交流記。
内容説明
沖縄県・八重山諸島の鳩間島は、日本の南西のはずれに近い海上にぽっかり浮かぶサンゴ礁に囲まれた人口五〇人ほどの小さな島。一九八八年に初めてこの島を訪れた筆者は、その人と自然に魅せられて島通いを始める。本書は一九九七年刊行の文庫化で、南の風(パイヌカジ)に吹かれながらノンビリと暮らす島の生活が描かれている。その後の島の様子についても新たに収録。
目次
序章 バッカスの島
第1章 島に還る日(約束の地;酔って候 ほか)
第2章 豊饒の海(海を歩く;夜のサメ ほか)
第3章 仙境の島より(南洋の正月;祭りの準備 ほか)
第4章 変わらぬ時間の流れのなかで(島のバッカスは今も健在;逝く者と、来る者と ほか)
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県出身。フリーライター。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。2013年より長野県の山岳遭難防止アドバイザーを務める。現在は鳩間島と埼玉を行き来する生活を送る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
64
私は八重山が大好きだ。 海も空も光り輝くブルー一色である。 どのくらい好きかというと、『やいま』という八重山の情報誌を定期購読しているほどだ。 『やいま』によると鳩間島の人口は61人。 この本に書かれているのは、鳩間島に住む人たちの生の生活。 ハレよりケに焦点を当てている。 離島の離島である。常に島の存続と隣り合わせだ。 島を存続させるため、この島の住民は観光開発に惑わされることなくしっかりと生きている。安心した。2016/10/28
ナディ
27
鳩間島での暮らしを赤裸々に描いている。実際に移住した人の経験は重みがある。生きることは綺麗事だけではない。土地に根を下ろすことは、生半可な気持ちでは難しい。2016/08/09
あんこ
16
沖縄の離島に移住した人のエッセイ。がっつりと地に足をつけ生活していて、こちらとは違う時間が流れてるよう。過疎の村でもあるけれど、島の人たちの思いが強く伝わってきた。小さな島なので、自分たちで何とかしているのが凄い。行政にたよっていない感じが人間の共同体の原点を見ているようで興味深かった。学校を継続させるために里子を預かる話が面白かった。中には問題児もいてすんごいことになった話も。これだけで一冊読みたいぐらい。2019/05/12
Nobu A
11
HONZ推薦本。羽根田治著書初読。16年刊行。人口50人足らずの孤島の良さを風光明媚な写真付きで語ろうとしているのは分かるが、正直中途半端。ルポとして書くのであればもう少し研究し現実を余るところなく綴るべき。西表島からの水道及び電力供給で成り立つ島。インフラ整備や点検は誰がやるのか。医者も歯科医もいない。周りに大きな島があるから成り立っているようなもの。存続には経済活動は必須。自立出来てこそ仕事口も増加するもの。魚の話が多過ぎ。昨日、日本最北端の離島、礼文島に行ってきたばかりなので尚更そう思う。2024/05/06
Machida Hiroshi
9
本書は、鳩間島の自然と人に魅せられて通うようになった著者が、その後、鳩間島に教員として赴任してきた女性を娶り、いよいよ島にハマり、埼玉と鳩間島を行き来しながら過ごす鳩間島での暮らしを描いた本です。そして、離島に移住しようと考えている人は、勢いで移住するのも良いですが、その前に一読しておくべき本です。離島での生活の良い部分も悪い部分も全て分け隔てなく書いてありますので、郷に入れば郷に従えで、これら全てを飲み込めない人が移住すると夢破れてすぐに島を出る羽目になると思います。僕はきっと溶け込めると思っています。2018/01/15