出版社内容情報
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖―。登山者の盲点でもある、誰もが陥りがちな道迷い遭難。その7件の事例を取り上げ、原因を探り未然に防ぐ方策を検証します。
内容説明
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖は、計り知れないものがある。おかしいと思いながらずるずると先へ進み、引き返すことができず、そのまま沢を下降し続けて遭難してしまう。そうした誰もが陥りがちな道迷い遭難から、7件の事例を取り上げ、原因を探り、未然に防ぐ方策を検証する。実例から学ぶことで、遭難防止、安全登山を呼びかけ、大きな反響を呼んだシリーズの文庫版。
目次
南アルプス・荒川三山 一九九九年八月
北アルプス・常念岳 二〇〇一年一月
南アルプス・北岳 二〇〇一年九月
群馬・上州武尊山 二〇〇二年五月
北信・高沢山 二〇〇三年五月
房総・麻綿原高原 二〇〇三年十一月
奥秩父・和名倉山 二〇〇五年五月
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県出身。フリーライター。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。2013年より長野県の山岳遭難防止アドバイザーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
106
西澤 隆さんのレビューに興味をひかれて読んでみました。山で道を見失ったときは、どうしたらいいか。鉄則は「引き返せ」「尾根へ上れ」。だが、それをなぜか守れない人間心理。紹介されているのは救助された例だが、どれも命を落とす一歩手前。運がよかったとしか言えない。地図をもたない、軽装で行く、疲れているのに行く、などなど、山を甘くみた結果でしょう。迷って数日、寒さと飢えに耐えながら、幻覚さえみるという恐ろしさ。滑落することが非常にこわい。しかし房総の300m級の低山の場合は、マスコミの態度にも問題があると思う。2020/12/10
goro@the_booby
73
本日、JRO主催の羽根田氏の講演会に参加してきました。それに合わせて読んでおりました。講演も事例の紹介、原因とどうしたら良かったのか大変参考になりました。迷ったら引き返せ、沢に下りるなと判っていても流されてしまう。踏み跡をたどったのにいつの間にか無くなってる事あります。冷静になれるかも大事な要素。ホイッスルは持ち歩くが今度からヘリからも分かるようにミラーか割れないようにミラーフィルムをザックに入れておくようにしようと思った今日この頃です。…あまりお山に行けてないですけど…。2019/12/03
蘭奢待
65
遭難本二連発。今度は山での遭難。こちらは海難と違って身近な存在だ。遭難して生還した人々へのインタビュー数編。山中で道に迷うのは日常茶飯事ともいえるが、生死の境目は、間違ったときづいたときに、元の場所へ戻れるかどうか。遭難者は心理的な焦りでそれができなくなる。尾根道から1時間も降り道を進んだら、戻ろうとする意欲よりも、さらに降る希望にかける方が圧倒的に多い。やがて沢に出て水を得てさらに降りて滝や崖に出くわす。無理に降りようとして怪我をして動けなくなる。容易に心理状態を想像できるだけに怖い。2020/08/18
HANA
61
登山で数多ある遭難、その原因の第一位である道迷いをドキュメントという形で追った一冊。道に迷った時は引き返すべし、とか沢は絶対に下るな、とかの鉄則は登場人物殆ど覚えているものの、いざとなるとそれらを実践できない心理が何とも恐ろしい。先に読んだ『単独行遭難』に比べると命に差し迫った危険を感じる箇所は相対的に少なかったが、常念岳のケースに見られるような凍傷が徐々に酷くなっていく部分などは読んでいて寒気がした。あとマスコミの傍若無人な過熱報道。やはり山を登る際には先にあげた鉄則、絶対に守るようにしないとなあ。2017/04/25
Kepeta
55
引き続き読んでしまった..もうダメ!山!!登山には全く縁遠く、沢とは何かすら実はわかってない私でも知っている警句「山で迷ったら絶対に沢には降りるな」をほぼ全てのケースでやってしまっているところが恐ろしい。知識や経験がいくらあろうと、遭難という異常事態ではまともな判断力はあっという間に失われるというのが実感できます。しかも遭難1〜2日目で幻覚まで見始めるとは...怖すぎです...一方で本書は生還した方々のインタビュー集なので絶望感は控えめ。多くの方にどこか愛すべき困ったさん感があるのは推して知るべし。2024/03/09
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