内容説明
秋田県内陸部、マタギの里として知られる阿仁の里。ここには、自然を活用しつつ、調和しながら生きてきた人々の暮らしがあった。マタギの家系に生まれ、シカリ(マタギの統領)として知られた故・松橋時幸氏の人生をたどり、失われつつある伝統的な山の民の暮らしを後世に伝え、現代への警鐘を鳴らす、作家・甲斐崎圭の筆が冴えた代表作。
目次
第1章(初マタギ;比立内;アメ流し)
第2章(水垢離;掟;初猟)
第3章(寒マタギ;バンドリ;二人三脚)
第4章(雪片飄々;日々…)
終章 萱草の熊
著者等紹介
甲斐崎圭[カイザキケイ]
1949年、島根県生まれ。作家。主に自然を相手に生きる人々のルポルタージュを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
YONDA
14
題名の通り、実在したマタギを主人公に書いた本。かなり期待していたのだが、ちょっと肩透かしを食らった読後感。物語仕立てで書かれているからなのか、ノンフィクションならではの迫ってくる感じがしないのは残念でした。ですが、マタギの矜持を表したこの一節は心に響きました。「山神は労なくして贈り物を授けたわけではない。厳しい自然と闘うことをひきかえにしたのである。」2016/09/21
kobumaki
9
秋田県の十四代マタギ松橋時幸さんの一代記。初回のマタギデビューが16歳、熊を追い出す役なのに未成年だから銃は所持できないのは驚いた。マタギはチームワークを大切にし、獲物もマタギ分配という平等にすること。鹿やムササビも捕ること。梅干しのおにぎりはスッパイ→シッパイ(失敗)になるので持っていけないなど興味深い。時代が変わっても、マタギの自然への敬虔な姿勢がかっこい。最後に、しばらく読み進めないと時代や語句が分からない事が多く、解説があるといいなと何度も思った。2025/12/07
A.T
9
山間の寒冷地の狭い耕作地を耕しながら、夏は川魚漁、冬はウサギ、春先の雪解け前の短い期間のツキノワグマをたおす狩猟を営むマタギの生活が取材されている。季節それぞれの自然の恵みを知恵を駆使しながら得るマタギが、親しみある親戚のおじさんのようなリアリティーで浮かびあがってきます。戦前生まれの松橋さんがそれ以前のマタギ衆から引き継いだ伝統と現代の時代感覚を器用におりまぜて四季を生きます。2016/08/06
to boy
9
戦前から現代にかけて生きたマタギ松崎さんの生涯です。山を生活の場として生きるマタギの生々しい生活がきれいに描写されていました。「人間も自然の一部でしかない」という彼の言葉がしみじみと感じてきました。嬉しかったのは15世が今も活躍しているという事です。2014/10/18
かぶき者
7
秋田でマタギとして生きた松橋時幸氏の半生を綴ったノンフィクション。時代が前後するので読みにくいが、氏に認められ、猟に同行しながらマタギの生き様を読み取ったのだろう。 狩猟だけで生きているわけでなく、家族があり、農業や山菜採り、釣りに馬の世話などまさしく自然と動物と共にあるのがわかった。時代の変化に追われるのは人だけでなく、自然に暮らす熊達も一緒なのだなぁと。ドラマティックではないけれど、無骨に描かれたありのままの姿がよくわかる一冊。2019/05/13




