内容説明
1972年7月2日、奥山章は47年の生涯をみずから閉じた。エベレスト南壁計画が進行するさなか、ガンに侵され、それを苦にしての自殺である。本書は、彼が死に至るまでに残した記録・紀行・評論・書簡等をまとめた遺稿集。戦中派登山家として山岳界に一時代を画し、第2次RCCを創立するなど、オルガナイザーとしての手腕を存分に発揮した著者の情熱的な人生が今、あざやかによみがえる。
目次
ザイルを結ぶとき
谷川岳と剱岳
RCC2のこと
北岳バットレス中央稜
谷川岳一ノ倉沢烏帽子奥壁・凹状岩壁
山の絵日記
明神岳V峰東壁中央フェイス
明神岳V峰南壁
岩群―ある奥又白生活
敗退―積雪期鹿島槍北壁〔ほか〕
著者等紹介
奥山章[オクヤマアキラ]
1926年、東京生まれ。官立無線電信講習所卒。1958年、北岳バットレス中央稜冬期初登攀に成功。このときのザイル仲間とともに第2次RCC結成への具体案をかため、アルピニズムの本質を追求する登山研究団体として同年1月31日、第2次RCCを発足させる。以後、同組織の代表同人として、積雪期登攀の実践やルートグレーディング、登山用具の研究・開発など、わが国のアルピニズムの発展に尽くした。1966年のカフカズ、1967年のマッターホルン北壁、1969年ディオ・ティバなど多くの海外登山も実践し、山岳映画作家としても多くの作品を残す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミツヒデ
4
初版本で読みたかったのですが、手に入らずヤマケイ文庫で出版されたので購入。奥山章氏は戦後、社会人山岳会の先鋭クライマーを結集し、世界的にも評価される実績を結実されましたが、大仕事を目前にしながらガンを苦に自殺した方です。その後の登山界の隆盛と衰退を見てほしかった。現在の状況も。古の山屋は文学者であり、哲学者だったとの思いを深くした。 2014/05/26
梅子
1
40代半ばで癌に侵され自ら命を絶った登山家の、短いながらも密度の濃い人生を登攀記録で辿るような著作。読んでるとこの人の好戦的な発言や奥様へのワガママが気になるが(奥様への手紙ラッシュは正直しんどさがあった 笑)、読み終わるとこの人の人生は他の誰にも真似できない濃密さで、まるで厳冬期のヒマラヤ登山みたいに思う。最後に自ら命を絶つのも、自分自身で、下山よりも人生の登攀を終わらる選択をしたように私は感じた。あと奥様が立派すぎる。一流登山家と所帯を持つにはこれほどデキた女性が必要なのか。2016/09/19
Kudo Atsushi
0
登山への姿勢と、奥様への絵葉書の、ストイックさの違いが微笑ましい。46歳でガンで自殺という最期に驚く。2023/08/04
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