内容説明
山ではちょっとした不注意から、つまづいたり転んだりして大ケガや死に直結する大事故に結びつくことが多い。その危険因子はどこにあるのか。七件の遭難事例を取り上げ、原因を探り、防ぐ方策を検証する。実例から学ぶことで、遭難防止、安全登山を呼びかけ、大きな反響を呼んだシリーズの文庫版。
目次
富士山―二〇〇〇年四月
北アルプス・北穂高岳―二〇〇一年九月
大峰山脈・釈迦ヶ岳―二〇〇六年五月
赤城山・黒桧山―二〇〇七年一月
北アルプス・西穂独標―二〇〇七年三月
南アルプス・北岳―二〇〇七年六月
近年の事例―埼玉県警山岳救助隊からの報告
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県生まれ。フリーライター。山岳遭難や登山技術の取材経験を重ね、山岳専門誌『山と溪谷』や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポルトン
52
初めて読んだ電子書籍。 読んでると道迷いからの滑落遭難がかなり多い事にびっくり。迷った時の心理状態、パニック、迷走...。しっかりした下準備と地図やナビの必要性。山行計画と事前告知。 改めて重要だなぁと再確認しました。 沢登り時のビレイ方法には、なるほど!っと思いました。 言われてみれば当たり前の事も文字で読むと再認識できます。2020/03/27
キムチ
47
渇望した1冊なので、夢中で読み切った。今晩、夢に出てくるんじゃないか・・という後悔と共に。筆者の文は山渓本で目にするせいか読み易く、「厳しいことを書いたが」という断りも当然と受け止めた。10年ほど前の本だが登山の現状は悪化しているか・どうなんだろう。6か所のエリアの事故について分析しており、偶然いずれも歩いた山ゆえ、文を追いつつ涙が滲んできた。埼玉県の山を分析した箇所で、非常に合点が行く~2000メートル級がないものの山は険しく、稜線から飛び出したらダイレクトに谷底へ。バランスを保つ訓練が重要だなぁ。2017/04/04
ニッポニア
44
予想通り面白かったです。山のドキュメント、読み応えありますよね、なんか好きなんですよ、シンプルじゃないですか、山登り。山は天候や、状況によって突如として牙を剥く。誰のものでもない、山の孤高さが際立ちます。以下メモ。富士山は巨大な滑り台みたいなもの、一度滑りだしたら止まらない。事故はなんでもないところで起きる、危険なところでは起こらない。ヘリ等費用を担保する山岳保険。遭難した時には持ち物を周りにばらまき、救助隊に気づいてもらう。2022/09/12
4fdo4
27
私の知り合いが過去2人、知り合いの配偶者が1人滑落したことがある。2人が亡くなり、1人がヘリで搬送された。この本を読むと滑落の瞬間、人は死が目の前なのに冷静だ。富士山から滑落した話など、絶望から諦めているかと思いきや冷静に行動し記憶もしっかりしている。だからこそ生還したのかもしれないが。2022/01/03
しゅう
27
難所を終えた後の気の緩み、道迷いでのパニック、気をつけていたのに不運の重なり。高山でも、低山でも滑落は起こりえる。筆者の取材力と検証は、すごいと思いました。いつか登山を再開できたら、参考にしたい本でした。2020/09/13