内容説明
2009年7月16日、大雪山系・トムラウシ山で18人のツアー登山者のうち8人が死亡するという夏山登山史上最悪の遭難事故が起きた。暴風雨に打たれ、力尽きて次々と倒れていく登山者、統制がとれず必死の下山を試みる登山者で、現場は修羅の様相を呈していた。1年の時を経て、同行ガイドの1人が初めて事故について証言。夏山でも発症する低体温症の恐怖が明らかにされ、世間を騒然とさせたトムラウシ山遭難の真相に迫る。
目次
第1章 大量遭難(十五人の参加者と三人のガイド;ツアー初日;差が出た濡れ対策;出発の判断;異変の徴候;足並みの乱れ;一気に進んだ低体温症;介抱か下山か;決死の下山;遅すぎた救助要請;喜びのない生還)
第2章 証言(面識のなかった三人のガイド;なぜ出発を強行したのか;聞けなかった「引き返そう」のひとこと;支えてくれた人たちのありがたさ)
第3章 気象遭難(遭難時の気象状況;トムラウシ山周辺の気象状況;遭難時の気象の特異性;気象から見たトムラウシ山遭難の問題点)
第4章 低体温症(低体温症との接点;低体温症の基礎;トムラウシ山パーティの低体温症;他パーティの低体温症;低体温症の医学的考察;多様な病態を示す低体温症)
第5章 運動生理学(気象的な問題;身体特性の問題;体力の問題;エネルギーの消費量と摂取量の問題;事故防止に向けた提言)
第6章 ツアー登山(ツアー会社は山のリスクを認識していたか;安全配慮義務と旅程保証義務;ガイドの資格問題;商品に反映されるツアー客のレベル;それでもツアー登山に参加するワケ;ツアー登山は自己責任か)
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県生まれ。フリーライター。山岳遭難をはじめ、登山技術、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続ける。著書多数。現在は埼玉と沖縄を行き来する生活を送る
飯田肇[イイダハジメ]
1955年、茨城県生まれ。名古屋大学大学院修了。富山県立立山カルデラ砂防博物館学芸課長。立山山域の積雪雪渓調査、ヒマラヤ氷河調査などを主に行なう。日本山岳会によるカンチェンジュンガ登山隊などの学術隊に参加。日本山岳会、日本雪氷学会会員
金田正樹[カネダマサキ]
1946年、秋田県生まれ。整形外科医師。登山は高校時代から始め、ヒマラヤ登山の経験もある。海外の災害援助の経験も多く、イラク戦争などの医療支援に従事
山本正嘉[ヤマモトマサヨシ]
1957年、神奈川県生まれ。東京大学卒業。教育学博士。登山の運動生理学の研究をライフワークとする。在学中はスキー山岳部に所属。シブリン峰北稜の初登攀、チョ・オユー無酸素登頂など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
Kenichi Yanagisawa
goro@一箱古本市5/5
翔亀
扉のこちら側