内容説明
大和路は、時代により様々な呼び名や道程を経て今日に至っている。しかしいつの時代にも、人々の生活や社会と深く結びついてきたことはいうまでもない。また、遠くは万葉人に、近くは志賀直哉や亀井勝一郎、幸田文などの文人たちにもこよなく愛された土地であり道であった。本書はこうした道の中から「奈良を歩く」という趣旨にそって、奈良の伝統的な魅力を今に伝える趣のある道を選んだ。
目次
古代の道 大和・飛鳥~平安時代を歩く(佐保・佐紀路・佐保川の流れに沿って万葉を彩った名歌の舞台へ;水越峠・古代より河内と大和を結ぶ交通の要、江戸時代には水争いもあった;葛城古道・葛城山東麓、天孫降臨の地に古代豪族のロマンを求めて ほか)
中世・近世の道 鎌倉~江戸時代を歩く(吉野山への道・万葉の時代より現代まで、日本の歴史・文化が息づく花の山へ;高山街道・富雄川に沿ってかつての熊野詣の道を行けばそこは茶筌づくりのふる里;壷阪寺への道・『壷坂霊験記』の舞台から南北朝の軍事上の拠点、高取城跡へ ほか)
近代の道 明治時代以降を歩く(戒壇院への道・東大寺とその周辺の名刹を巡る、修学旅行の定番コース;ささやきの小径・いかにも奈良らしい散策路を通って志賀直哉の愛した高畑へ;西の京への道・“凍れる音楽”フェノロサの感動を今に伝える仏教美術の宝庫 ほか)
著者等紹介
植条則夫[ウエジョウノリオ]
エッセイスト・関西大学社会学部教授。和歌山大学経済学専攻科(経理経営学)、同大学院(理論経済学)を始め、関西大学文学部、法学部、経済学部、現大阪府立大学社会福祉学部など、三大学六専攻卒業。日本エッセイストクラブ・日本ペンクラブ会員
藤井金治[フジイキンジ]
写真家。葛西宗誠氏、井上博道氏に師事した後、フリーとして活躍。奈良に暮し、奈良の風物を撮り続けている。(社)日本写真家協会会員
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