出版社内容情報
現在に連なるグローバリゼーションの動きに歴史家はどのような方向性を見出し提示しうるか。第一線の研究者達がそれぞれの専門分野からアプローチした東京大学教養学部での連続講義をもとに編集したグローバルヒストリーの入門書。
内容説明
東京大学教養学部連続講義より。枠組みをはずし、多様な切り口から、ニュートラルに歴史をみる。世界システム論、地域システム論、帝国論、人類史、環境史…さまざまな歴史認識の方法論として誕生したグローバル・ヒストリーは、いま、新たな方向性に向けて挑戦する。
目次
グローバル・ヒストリー研究の挑戦
第1部 グローバル・ヒストリーの方向(初期グローバル・ヒストリー・ノート;歴史学はグローバル研究にどのような貢献ができるか;世界史教育、東南アジア史、グローバル・ヒストリー;「イスラム世界」と新しい世界史;世界システム論からグローバル・ヒストリーへ;グローバル・ヒストリーと帝国、帝国主義)
第2部 グローバル・ヒストリーの試み(アジア国際秩序とイギリス帝国、ヘゲモニー;中華帝国の経済と情報;日本綿業とグローバル・ヒストリー;銅からみた近世アジア間貿易とイギリス産業革命;思想のグローバル・ヒストリー;食料生産と人類;イメージの都市、リアルの都市)
著者等紹介
水島司[ミズシマツカサ]
1952年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読書実践家
3
グローバルヒストリーの可能性を大きく切り開く1冊。2021/12/23
水無月十六(ニール・フィレル)
2
グローバル・ヒストリーという歴史学への対峙の仕方について、入門の入門といった趣の本。各分野の専門研究者らが、グローバル・ヒストリーという視点に絡めて自分の分野をどう見ていくか、歴史学をどう見ていくかについて短い章立てで語られている。多くが論点の触りの紹介程度で終わっているため、かなり入口の方でしかないのだが、グローバル・ヒストリーというものについて考えていく足がかりとしてはとてもちょうど良い塩梅ではないかと思う。参考文献などから広げていきたい。2022/01/29
すがの
2
東大教養の連続講義をもとにした本。グローバルヒストリーの入門書・紹介本といった趣だが、入門書としては水島司『グローバルヒストリー入門』があろう。前半が総論で、後半が各論である。冒頭の水島の研究紹介と、後半の各論で特に、グローバルヒストリーの扱える問題群の幅の広さとその魅力は感じられようが、ひとつひとつの論文が短く、尻切れ蜻蛉の感は否めない。2015/11/16