内容説明
本年報の特集では執筆者が自らのテーマに取り組む際、官僚制を歴史内在的に位置づけるよう配慮している。さらに官僚制の問題を、あるいは政治体制との関連で、あるいは立法過程の展開に沿って、あるいは政策決定過程全体とのかかわりで、あるいは思想史的流れの中で、というようにより広い文脈から検討するよう試みた。
目次
維新官僚の形成と太政官制(松尾正人)
宮中の制度化と内閣制度の創設―伊藤博文の政治指導を中心に(坂本一登)
明治憲法下における会計制度の形成―剰余金支出の問題を中心に(小柳春一郎)
司法官刷新問題と第一次大隈内閣―横田国臣検事総長懲戒問題を中心に(楠精一郎)
独立・官吏・創業―明治思想史における「政治家」と「官僚」(坂本多加雄)
陸軍軍縮の財政と政治―政党政治体制確立期の政・軍関係(高橋秀直)
政党内閣と商工官僚―田中義一内閣の産業立国策をめぐって(土川信男)
戦後日本金融システムの形成(伊藤修)
水資源開発と戦後政策決定過程(御厨貴)
財政硬直化キャンペーンの挫折と予算過程の変容(山口二郎)
昭和期陸軍エリート研究・序説(筒井清忠)