内容説明
中世人の生活意識と心性にせまる!中世社会における家・火・神の関係性を解き明かす。新稿一篇を収録。
目次
1章 バック・トゥ・ザ・フューチュアー―過去と向き合うということ
補論 柳生の徳政碑文―「以前」か「以後」か
2章 中世の家と住宅検断
3章 戦国の家法と家訓
付論 戦国時代の女性と家二題
4章 日本人の死骸観念
5章 穴山氏の「犬の安堵」について―山の民の把握と役の体制
6章 「常在寺衆中年代記」を読む―戦国期富士北麓の郷民の生活
7章 「本福寺跡書」を読む―伝承の歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
15
中世史の大家による論集。中世人の時間概念の変化を説いた文字通りの「バックトゥザフューチャー」論(呉座先生もおすすめしてました)から、家や死骸に認められた人格権など興味深い内容ばかり。各論とも切り口はバラバラだが、全体を通して現代の我々とは違う観念に生きた中世の人々の存在が浮かび上がってくる。他にも昨今話題の明智光秀の妹が信長の側室であった可能性にもサラッと言及しており、ほんと、凄い研究者は年食っても切れ味抜群だと思い知らされる一冊である。2019/12/16
ゆづたろう
1
前方に未来を見るという現代の認識が中世のある時期から始まったものであり、それまでは前方に過去が拡がっていたという精神構造のシフトに関する一章のSF的な思考や、中世までは家そのものに人格を見て社会が動いていたという民俗学を援用した諸星大二郎的エンターテイメントのような2章の見立てが興味深く、面白かった。それらの根拠となる部分はちょっと飛躍してはいるのだけど、その発想の飛躍自体が中世の生活に根ざした歴史の論考という本筋部分よりも個人的には楽しかった。2021/06/05
陽香
1
201109202017/09/19
tnk
0
戦国期に「さき」の意味が過去から未来へと逆転することを論じた一章、犯罪者の家や犯罪現場の家を焼く行為が、所有者への処罰としてではなく、祖霊の依代を破壊する、穢を祓う行為として一般化していたと指摘する二章が面白い。2022/09/30
相田
0
バックトゥザフューチュアーの論文が興味深かったです。2019/06/30