内容説明
時は幕末維新の動乱期、勤王と佐幕をめぐる「もののふ」たちの血なまぐさい闘争を見据えつつ、悪しき心を入れ替える「心直し」によってこそ真の「世直し」が実現し、世界一れつ(=全人類)が憂いなく平和に暮らせるようになるであろうと説く一人の女性がいた。天理教教祖の中山みきである。彼女の生涯とその思想は、宗教という枠組みを超えて、これまでの我々の女性観、人間観、さらには歴史観そのものの見直しを迫らずにはおかないであろう。
目次
生き神教祖の誕生
1 思想形成をうながすもの(前近代の民衆と宗教;「大きな救い」を見失った人びと―宗教からみた江戸時代;少女時代のみき―浄土への憧れ ほか)
2 「おふでさき」の世界(「貧に落ち切る」;「にをいがけ」;「よふぼく」―神に引き寄せられた人びと ほか)
3 不屈の戦い(弾圧に抗して―「高山へのにをいがけ」;布教公認・教会設立運動とみき―えるものと失うものと;こかんの死―もう一つのひながた ほか)
神か律か
著者等紹介
小澤浩[コザワヒロシ]
1937年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻は近代日本民衆宗教史。元富山大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オサム兄ぃ
5
天理教教組の生涯を描いた一冊。テーマは伝記だが、歴史家の目は時代の社会心理と、民衆宗教が次々と生まれるロジックを描き出す。教義の説明と発想原因の分析もあり、理解を助ける。豪農の嫁に神がかったことから、巨大教団を拓く様は実にドラマチック。家財を分け与え「貧に落ち切る」ことで普遍宗教化する過程や、度重なる実子の死を越え精神性を昇華させていく様は実に迫力がある。みきの死から130年。世界は時代の大転換に直面している。文明開化を挟んだ激動の時代の宗教家の生きざまは、一つのヒントになるのではないか。2016/01/23
たか
3
奈良方面に本部がある某宗教の創始者ですね。山川の日本史リブレット人シリーズは9割くらい男性ですが数少ない女性版。2018/12/19
cuttercourier
1
「私」「と思われる」「ではなかろうか」「に違いない」が頻出する上に、べき論展開するのに躊躇がないので胃にもたれる。勉強にはなった。2012/12/23
samandabadra
0
天理教の教祖様の人生を知る。おふでさき、というものが出てきているが、大本教の『出口なお』の伝記でも同じものに関する言及があった。あと、後継者をどうするかはどこでも問題になるものなのだなあと思った次第2023/08/24
RuiRui
0
『自分を苦しめていた自己中心のあさましい心のあり方のなかに、自分だけではない人間そのものの限界をみたからこそ、その言葉は切実なものとして、人々の心に染みわたっていった』(P23)2021/09/05
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