内容説明
「我と来て遊べや親のない雀」とよんだ小林一茶は、慈愛に満ちた俳諧師として知られている。また、江戸の著名な俳諧師のなかでたくましく生きながら、滑稽味豊かな句をよみつづけた一茶像を想像する方もおられることだろう。一茶は日本や中国の古典を研究しつづけた勉強家で、自分が生きた時代を真摯にみつめて句によんだ俳諧師でもあった。本書ではそんな句を紹介しながら、歴史学的な関心から、一茶像に新たな側面を加える。
目次
1 芭蕉・蕪村・一茶(芭蕉翁の臑をかぢつて夕涼―芭蕉あっての一茶;はつ時雨俳諧流布の世也けり―化政期は誰もが俳諧師)
2 一茶の俳風(世直しの大十五夜の月見かな―農民の目線で句をよむ;松蔭に寝て喰ふ六十余州哉―政治性こそが一茶の俳風 ほか)
3 一茶の生涯(まゝつ子や灰にイロハの寒ならい―弥太郎も読み・書きを学んでいた;是がまあつひの栖か雪五尺 ほか)
4 化政期の社会の諸相をよむ(なまけるなイロハニホヘト散桜―信州の村も勉強時代;うら店は蚤もいんきか外へとぶ―裏長屋の生活を実写する ほか)
5 化政期の政治の動きをよむ(世直しの夕顔咲ぬ花さきぬ―一茶の世直し願望;花おのおの日本だましいいさましや―国学思想に傾到する一茶 ほか)
著者等紹介
青木美智男[アオキミチオ]
1936年生まれ。東北大学大学院文学研究科(国史学専攻)。専攻は日本近世文化史。現在、専修大学史編集主幹(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 妄想美術館 SB新書