内容説明
フランシスコ=サビエルが日本にはじめてキリスト教を伝えたことは、当時のカトリック教会にとって革新的業績であった。日本布教という困難な事業をなしとげるためには想像を絶するほどの労力を必要としたが、彼はそれにふさわしい自己犠牲の精神だけでなく、布教事業を牽引するためのカリスマ性をも備えていた。彼は宗教改革の波が押しよせている現実社会において、カトリックの世界布教という壮大かつ壮絶な戦いに挑んだのである。
目次
殉教者ザビエル
イエズス会と東方布教
インドから東南アジアへ
日本との出会い
中国をめざして
ザビエルの評価
著者等紹介
浅見雅一[アサミマサカズ]
1962年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。専攻、キリシタン史。現在、慶應義塾大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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更紗蝦
8
ザビエルを描いた絵画が多いことに驚きました。カラー印刷がカバーしかないのが残念です。地獄に堕ちた祖先に「救い」はないとするキリスト教の見解に日本人が落胆したため、その後、日本人の祖先が地獄に行かなくて済む理論を“採用”したという話には、祖先の霊を大切にしていた昔の日本人の価値観が現れていて興味深かったです。ザビエルの布教活動に多大な影響を与えた日本人・アンジローは謎が多く、この本の本来のテーマであるザビエルよりも気になってしまいました。2014/11/25
韓信
2
戦乱のバスクに生まれ、パリ留学時代にイエズス会を結成、インド・東南アジア・日本へと教線を拡大させたザビエルの生涯を描く評伝。ザビエルの日本観については掘り下げが浅く、理知的で名誉を重んじる国民性を高く評価する一方で男色の盛行を非難していたことを紹介する程度なのが残念。しかし彼が撤回した「神=大日」とする布教初期の本地垂迹説は、ある宗教が異域で受容されるためには必要なプロセスだったと思う。遺体が聖遺物化(ゴアにはミイラ化した遺体が、ローマには切断されたその右腕が保管されているらしい)されていたというのは初耳2014/03/03
セシリア
1
「日本にキリスト教をもたらした」と日本史の教科書には記されているザビエル。その人となりをもう少し知りたくて手にした本。並々ならぬ強固な意志の持ち主、有言実行の人だった。マラッカ司令官アタイーデとの確執は根深いものがあったようで、「聖人」のイメージとは異なり、その人間らしさに興味がそそられる。2020/04/22
オシャレ泥棒
0
図書館 遠藤周作を読む上で日本とキリスト教の基礎知識を得ようと。2014/07/12
カカシ
0
知らないことばかりでした。日本人との出会いで日本布教を決めたとは。 ザビエルは日本人は知識欲が強く、名誉を重んじる、これまで布教したどの国の人たちより素晴らしいという評価。いやいや、嬉しく思いました。今の日本人では、これほどの評価はいただけそうにありません。 イエスキリストばりに予言や奇跡をおこしていたとか、遺体が腐敗せずに残っていたとか、すごいですね。でも、腕を切り落としたり、ちょっとついていけません。宗教は苦手です。2013/08/25