内容説明
律令制とはなにか。今日まで積み重ねられてきた古代日本と隋唐との律令法の比較研究は、研究方法としてどのような特色があるのか。古代日本の国家や社会の独自なあり方をどのように剔出してきたのか。天皇制の唐風化や奈良時代中期から平安時代にいたる中国的な礼の受容までを視野にいれて、現在におよぶ列島の歴史の基礎となった古代国家の枠組みを問う。
目次
1 律令制という考え方
2 律令の形成過程と東アジア世界
3 律令制の性格
4 民衆支配と税制―律令制の構造(1)
5 官僚制と政治構造―律令制の構造(2)
6 天皇制―律令制の構造(3)
7 天平年間と礼の受容
8 天皇制の唐風化、儀式書と格式の編纂
9 律令制の意義
著者等紹介
大津透[オオツトオル]
1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(国史学専攻)博士課程中退。専攻は日本古代史。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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misui
7
隋・唐に学んで日本古代国家の枠組みを規定した律令制について。官位相当制にはそれまでの氏族制を継承した部分があって、特に五位以上の家の子弟は自動的に五位以上にのぼり、特権が守られて、貴族が再生産されるなど、摂政・関白が権力を握るその後の貴族体制を予期させて理解がクリアになった。倭から日本に改まったということで日本史の最初のチェックポイントという感じ。2020/05/11
Hiroshi
5
日本古代の7世紀から8世紀にかけて創られた中央集権国家。そのシステムを律令制という。7世紀に隋に続いて中国を統一した唐が朝鮮3国や倭に大きな圧力をかけ、倭は国家存亡の危機に強力な中央集権国家を作ることが不可避だった。そこで倭は唐の律(刑法)と令(行政法)を模範としてそれを受継して、国家の基本を作った。646年に改新の詔がだされ、私有民や私有地の廃止、京・畿内・郡の設置、戸籍・班田収授法の作成がなされた。近江令(686年)・飛鳥浄御原令は完成しなかったが、大宝律令(702年)養老律令(757年)は完成した。2019/12/10
なるべく
2
律令制の様々な側面がコンパクトにまとまってる。薄いのに情報量が多く、濃い。文体はとても読みやすい。 (図書館にて)2018/10/22
いま
1
律令制について細かく記述されている。中国から輸入した部分と日本古来の部分の組合せであったことがよくわかる。最新の学説に基づいていて読みやすい。2016/01/31
こずえ
0
律令制についての入門書として