出版社内容情報
加藤高明の政治指導を一次史料に基づいて分析し,戦前期における二大政党制の形成過程を明らかにする。
内容説明
本書は、加藤高明(一八六〇~一九二六年)の政治指導を分析し、戦前期における二大政党制(一九二四~一九三二年)の形成過程を明らかにするものである。
目次
第1部 政党政治家以前(実業界から官界へ;官僚と政党の間で)
第2部 政党時代(政党政治家へ;憲政会の創立;憲政会の「苦節十年」)
第3部 首相時代(第一次加藤高明内閣の政権運営;第二次加藤高明内閣の政権運営)
著者等紹介
奈良岡聰智[ナラオカソウチ]
1975年10月、青森県青森市生まれ。1999年3月、京都大学法学部卒業。2004年3月、京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。京都大学大学院法学研究科教授、京都大学博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
10
二十一箇条の要求と史料の不足から、原敬に比べると影が薄くイメージの悪い加藤高明を再検討。非藩閥、法学徒、外交官、陸奥と伊藤の影響、新聞経営など共通点は極めて多い。山県閥と提携して普通選挙に反対した原よりも、一貫してデモクラシー的政治家といえる。愚直すぎて政権を逃すのは魅力でもある。2020/10/08
でん
0
課題のため再読して思うことは、加藤は党運営を一手に引き受けすぎた為に、その後継者の育成に失敗したのではないか。浜口の過去の加藤にも似た硬直性が様々な問題を引き起こすことになったが、そこを浜口が加藤と同じ様に経験できていれば…と思う。2012/09/15
thefumin765burn
0
従来初の本格的政党内閣を組織した原敬の陰に隠れてきた加藤高明の政治指導を、「加藤高明文書」やイギリス公文書館などの未公刊史料をふんだんに用いて明らかにした大著。加藤高明といえば「対華21カ条要求」による失敗から「苦節十年」を招いたことが低評価の一因となってきたが、この間に官僚派と党人派が混在する同志会内部を掌握して非政友三派合同のもと憲政会創立を実現し、政友会に伍する二大政党に育て上げていく過程が明らかにされ、読んでいて強く惹きつけられた。加藤が生きていれば政党内閣期はどこまで永らえただろうか。2019/01/18