Historia
黒人王、白人王に謁見す―ある絵画のなかの大英帝国

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  • サイズ B6判/ページ数 198p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784634491106
  • NDC分類 233.06
  • Cコード C0022

内容説明

ロンドンで出会った一枚の絵画。大英図書館で見つけた古い新聞記事。このふたつが重なったとき、そこに新しい大英帝国のかたちが見えはじめた。白人王がさしだす聖書。それを受けとろうとひざまずく黒人王。この構図は、そして長らく忘れられていたその絵画のタイトルは、何を物語ろうとするのだろう。一枚の絵画へのタイム・トラベルが今はじまる。

目次

ある絵画との出会い
黒人王、白人王に謁見す
黒人王、父の記憶をくりかえす
絵画はさまよう
黒人王、国に帰る

著者等紹介

井野瀬久美恵[イノセクミエ]
1958年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、甲南大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蛇の婿

17
筆者がロンドンで出会った一枚の絵が示す、大英帝国とナイジェリアを結ぶ過去。非常に面白く読了させていただきました。絵画に描かれた黒人王の正体を追いながら当時のヨーロッパの持つ植民地制度、人種差別問題や、日本もかつて行った先進諸国の文明を学ぶ使節団の派遣などにも触れてゆく書き方はよくできた小説のようにも読めて非常に面白いです。またナイジェリアアベオクタは「やし酒飲み」を書いたエイモス・チュツオーラの生誕の地であり、個人的に読了間もない時期であったため、少し感慨深いものがありました。2015/07/07

ケッヘル(次女)

1
「イングランドの偉大さの秘密」と題する、ヴィクトリア女王が黒人に対して聖書を渡している、という構図の一枚の絵画をめぐる、キリスト教と植民地支配の意義を解き明かそうとする一冊。20世紀初頭のアフリカでの列強の受け入れ方の一形態を詳しく知る事が出来ました。2012/03/24

おっとー

0
すごくいい研究!題材はヴィクトリア女王が黒人王に聖書を贈る絵画。この絵の儀式は架空の出来事だが、絵が制作された数十年後、アフリカのアベオクタ「王」がエドワード7世に謁見する。さらにその黒人王の父は、なんとヴィクトリア女王から聖書を贈られていたことが判明して…。当時聖書とは、武力を介さずにイギリスとアフリカを繋ぐ「秘密」だった。しかも、国王が聖書を贈るという行為は、国教会を信奉するイギリスにしかできない秘策である。若干こじつけ感もあるが、わくわくする理論展開で、読者を見事に歴史的思考の世界へ誘ってくれる。2017/01/26

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