出版社内容情報
戦禍のウクライナはどこへ向かうのか。キエフ・ルーシからゼレンスキー政権まで。
旧ソ連邦の解体から独立し、西欧とロシアの間で揺れ動くウクライナ・ベラルーシ両国の歴史をたどる。
『新版世界各国史20.ポーランド・ウクライナ・バルト史』からウクライナ・ベラルーシ史をあらたにまとめ直し、現在の戦争までを加筆した。
2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が起こったあと、ウクライナの抱えていたジレンマを解明した良書として緊急復刊された『ウクライナ・ナショナリズム』の著者で、ウクライナ研究の先駆者・第一人者の手による。
内容説明
戦禍のウクライナはどこへ向かうのか。キエフ・ルーシからゼレンスキー政権まで。旧ソ連邦の崩壊から独立し、西欧とロシアの間で揺れ動く両国の歴史をたどる。
目次
序章 自然と人々―土地と河川、山脈
第1章 キエフ・ルーシ(キエフ・ルーシの建国とその社会;キエフ・ルーシの衰退とモンゴル支配)
第2章 コサックの共和国(ポーランド下のコサック;ロシア帝国下のコサック;外国支配下のウクライナ)
第3章 ソヴィエト時代のウクライナ(ロシア革命とウクライナ;戦間期のウクライナ;独ソ戦から独立まで)
第4章 独立と民主化の時代(ウクライナ;ベラルーシ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
6
「『ウクライナ史』の歴史は「ウクライナ」の歴史に似ている」(i頁)という序文の指摘が印象的。同じ山川の世界史シリーズ本でも、かつてはロシア史、その後はポーランド史の一部としか扱われなかった。それがようやく「ウクライナ史」として独立させることができた。いずれベラルーシ史も独立するだろう、と。日本では数少ないウクライナ史の専門家であり、長年孤塁を守り続けてきた著者の感慨と矜持がうかがわれる。2023/12/26
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
5
2023年刊。和田春樹曰く「ウクライナ研究をきわめた学者」との事だが、本書の現代史の記述は西側の偏向報道の要約に過ぎない。またベラルーシの分量は僅かにすぎなかった。また『ウクライナ動乱』で指摘されていた「キーウ(キエフ)」表記も残念。ウクライナ語的にはまったく正しくないとの事で、著者は他の表記を検討しなかったのだろうか? とはいえ中世の部分は面白かった。同著者の『ウクライナ・ナショナリズム』ではあまり触れられていない箇所だった。→2024/06/19
Fumitaka
4
中井和夫先生は日本のウクライナ研究の開祖と呼ばれる方であり、また俺にマゴチの名を教えてくださった先生でもある。基本的には『ポーランド・ウクライナ・バルト史』から内容が引き継がれているが、フルシェフスキーがキエフ・ルーシとモスクワとの連続性を否定した(p. 37)とする箇所や、コサックがウクライナ民族の「基盤」となったとする(p. 50)箇所など、いくつかの部分が加筆されている。マゼッパの末路は知らなかった(p. 60)。131頁以降はユーシチェンコ時代以降の、完全に現代史となる。2023/06/02
まっちゃん2
2
2年前から気になる、ロシアとウクライナの歴史。ロシアというとあまり近づきたくない方が大出を振っているので、ウクライナ史を・・・と思うのですがこれがなかなかない。図書館でやっと見つけた入門的一冊。ほとんどがウクライナのことで、ベラルーシのことはほとんど書いてありません。 なかなかややこしい歴史を持っていて、ロシアに飲み込まれた時期もあるけど、違うと。国家として「ウクライナ」がしっかり存続したのはこの30年ほどのこと。2023/11/19
土偶
2
ウクライナ史と言えば中井和夫氏の名前がまず引用されるのになかなか著書を読むことが出来なかったのが(たぶん戦争の影響で)、過去の書籍の原文を元に新たに加筆してウクライナ・ベラルーシ初心者向け通史が出来上がったようだ。2023/09/05