内容説明
本書は、バルカン地域の歴史を先史時代から現代にいたるまでたどった、わが国はじめての通史である。
目次
序章 バルカン史の前提
第1章 バルカン史の黎明
第2章 中世のバルカン
第3章 オスマン支配の時代
第4章 ナショナリズムの勃興と独立国家の形成
第5章 ナショナリズムの展開と第一次世界大戦
第6章 両大戦間期の政治危機
第7章 第二次世界大戦とバルカン
第8章 多様な社会主義の試み
第9章 対立と相互協力の模索
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
11
140頁。メフメト2世が1455年にバルカンからユダヤ教徒をイスタンブルに移住させたため、その後に欧州での迫害を逃れたユダヤ教徒が流入してきた。スペインでは1391年に最初のポグロムが発生したが、この時期からユダヤ教徒のオスマン領への移住が始まった。1492年にスペイン、93年にシチリア及び南イタリア、97年にポルトガルで、それぞれユダヤ教徒の追放が行われると、オスマン帝国のユダヤ教徒人口は激増した。こうした南欧出身のユダヤ教徒はスペイン語の影響を受けたラディーノを共通語とするスファラディム呼ばれる人々だ2017/02/10
中島直人
10
19世紀以降の、錯綜し過ぎて各国史では理解が難しいバルカン半島の歴史を纏めて述べてくれている。民族について、歴史について、戦争について、これほど勉強になる地域はないのではないか。2017/04/24
竹花 樒 - Shikimi Takehana
8
本書では主にドナウ川下流域以南の諸国を扱う。オスマン的多元主義に源流を持ち多様な文化圏が育まれたバルカン地域では、独立国家形成期において民族主義の基盤が宗教的な共通性に求められ、以後総じて反都市的・反近代的な性格を持つことになる。独ソ対立の狭間で激動し、冷戦以後「東欧」という概念が政治的な連合体としての意味を失った今、20世紀の戦争史における客体としての「バルカン」というステレオタイプな認識ではなく、古い概念を解体した上でバルカン半島を中心に興亡する諸国家を敢えて積極的な文脈の中で捉え直した意義ある通史。2011/01/30
サタイン
2
少し古いので最近の情勢を知る上ではちょっと足りないかなとは感じました。しかしバルカン半島と言えばヨーロッパの火薬庫って事ぐらいしか知らなかったのでかなり難しかったです。しかし。それなりにバルカンに関して知識が得られたとは思います。それでもオスマン帝国崩壊期からの歴史がまぁ分かりにくい…知識不足を改めて感じる所です。2023/05/17
Hydroxideminus
1
大学の卒論書くのにお世話になりました。この度初心にかえって最初から読み進めてみましたが、また新しい興味の糸口が掴めました‼️ 参考文献も豊富でそれぞれの国歴代君主一覧もついていて、この地域の基本的な歴史知識の発見にはとてもいいと思います2020/09/14