内容説明
ンクルマはアフリカの他の植民地に先駆けてガーナを独立に導き、さらに全アフリカ解放の戦いの先頭に立とうとしたが、軍部によるクーデタで失脚した。アフリカ統一の夢にこだわりすぎて政権運営に失敗したという批判も少なくない。しかし、この「失敗」とは何だったのだろうか。むしろそれは、アフリカにおける脱植民地化がいかに困難な事業であったかを示しているのではないか。一人のアフリカ人指導者の事跡を通して、アフリカの脱植民地化の時代を考えてみたい。
目次
アフリカの黒い星
1 ゴールドコースト植民地とンクルマ
2 アメリカ留学とアフリカ解放の夢
3 ガーナ独立への道
4 新植民地主義との戦い
著者等紹介
砂野幸稔[スナノユキトシ]
1954年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻、アフリカ地域研究。現在、熊本県立大学文学部教授、博士(地域研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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S.Mori
13
ガーナ独立のために力を尽くしたンクルマの生涯が描かれた本です。こんな本を読むと、自分の歴史の知識がいかに偏っていたか痛感します。欧米寄りで、アフリカやアジアの近代史の知識が欠けています。アフリカ合衆国を作ることを夢見ながら、ヨーロッパの大国のエゴを排除できずに、独裁化してしまうンクルマの生涯は、悲しいというしかありません。ンクルマがやり遂げようとしたことは、私たち一人一人が受け継がなければならないと思います。アフリカの国々よりはましな状態ですが、日本も大国の圧力に翻弄されることがあるからです。2020/06/02
ののまる
9
ガーナ独立の父。政権後半は独裁的に。2017/10/19
ジュンジュン
8
ガーナの黒い星。独立の立役者ながらも、植民地ゆえの制約(宗主国の都合で決められた国境と民族、経済体制)や冷戦下の状況に翻弄され、独裁化。アフリカ合衆国の大志を抱きながらも、軍事クーデターで失脚。20世紀のアフリカを象徴しているような生涯だった。2020/07/18
ヨシオ・ペンギン
2
「アフリカがばらばらであり続けることに既得権益を持つ者が多すぎたのだ」現実って難しいものだなと。2021/03/25
伊藤直起
2
ンクルマ自体、暗殺未遂事件に逆上し独裁を強めたアフリカの社会主義政治家という程度で、実際に何をしたのか知らなかった。 本書にて、最初は社会主義を名乗っていても実態が伴っていなかったことや国連軍の派遣をきっかけに東側寄りになったという事実などを知った。 また、獄中からトイレットペーパーで指示を出していたことなど、興味深いと思った。2020/08/11
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