内容説明
「建国の父」と称されるスカルノは、1920年代からオランダの植民地支配にたいする民族運動を牽引し、45年のインドネシア共和国独立へと導き、初代大統領として国家建設を指導した。67年の失脚まで、種々の対立、分裂の危機に直面しながらも、それらを克服し、民族統一・国家統合に努め、民族革命の完遂にいどみ続けた。彼の事績をたどりながら、それと表裏を成すインドネシア現代史の歩みを描く。
目次
蘇るスカルノ
1 民族主義指導者への道程
2 民族主義指導者スカルノ
3 日本軍の占領・協力・模索
4 民族革命
5 国家統合への苦闘
6 指導される民主主義
著者等紹介
鈴木恒之[スズキツネユキ]
1944年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。専攻、インドネシア史。現在、東京女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
9
スカルノのコンパクトな評伝。その生涯と併せてインドネシア独立闘争の良いまとめにもなっている。多様な人々を宗教ではなく「民族主義」で束ね、植民地支配からの脱却を目指す姿勢は、エジプトのナセルらこの時代の第三世界のリーダーたちの典型のよう。また多くの革命家や運動家のように、海外で教育を受けたり、イデオロギーに目覚めたのではなく、ジャワ島内の土着の考え方を基に理論武装をしていったのも面白い。彼の唱えた「指導される民主主義」の思想的な背景がうかがえる。他にも某婦人など日本とのつながりが深いのも印象に残った。2020/11/14
貧家ピー
4
スカルノの一生とインドネシア独立の歴史を学ぶことができる。ハッタは副大統領。2019/06/16