内容説明
ドイツの革命家ローザ・ルクセンブルクはポーランドで生まれてスイスに亡命し、偽装結婚によってドイツ国籍をえて、ヨーロッパ労働運動の中心地ドイツで最左派の理論家として活動した。ドイツ革命時の1919年1月に虐殺されるまで、彼女は国際プロレタリア革命の達成のために妥協を排し孤立を恐れず闘い抜いた。本書は、激動する国際情勢のなかで彼女が打ち立てた革命論とその実現に向けた行動、ドイツ社会民主党の右傾化との対決過程を描きだす。
目次
ローザ・ルクセンブルクの記憶
1 ポーランド亡命からドイツ社会民主党の舞台へ
2 社会民主党の左派理論家として
3 社会民主党の変遷とローザの孤立
4 ローザの親友・クラーラとプロレタリア女性運動
5 第一次世界大戦とロシア革命
6 ドイツ革命
著者等紹介
姫岡とし子[ヒメオカトシコ]
1950年生まれ。フランクフルト大学歴史学部修士課程、奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了、文学博士。専攻、ドイツ近・現代史。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっきー
18
⭐3 ローザルクセンブルク関連の本は長くて難しそうなのが多くずっと手が出なかったが、この本は110ページと短く読みやすいので一気読みだ、ロシア革命前後のドイツの情勢も分かったし、ボルシェヴィキを批判し人民大衆の側に立つ熱い生き様が気に入った、本文扉の女性運動活動家で友人のクラーラとの銅像ツーショット写真がグッとくる2021/03/08
ロビン
17
国際プロレタリア革命のために人生を捧げた理論家にして革命家のローザ・ルクセンブルクの略伝。社会主義者としての活動の流れに重点を置いた本で、難しく感じたが、長い間パートナーであったヨギヘスのことや、ある意味では戦友の女権活動家クラーラのこと、ローザの情熱的で自信家で、意志強固で活動的な性格などが分かった。大衆の自発的な行動を重視し、「口やかましい女」という男社会からの圧力や批判にもへこたれることなく、反戦を主張し、命の危険を顧みず最後まで自分の信念に忠実に生き、大衆と共にあったローザは、本当に凄い女性だ。2023/02/04
Toska
10
小著ながら、ローザ・ルクセンブルクの激しい人生を濃縮した質の高い評伝。彼女の傑出した才能と信念のみならず、それらに付随する人間的な欠点(傲慢さ)からも目を背けていない。抑圧的な教育に対する反発が革命家としての出発点になっており、これはチフリス神学校出身のスターリンと共通しているのが面白い。世の先生方も、教育の効能について大いに考える必要がありそうだ。2024/01/28
ア
5
他の社会主義者たちとの異同や駆け引きがおもしろい。また、小著ながら、ローザだけでなくクラーラ・ツェトキンについても扱っている。2020/12/24
sovereigncountr
1
思想家・革命家であるローザ・ルクセンブルクの生涯を力強い筆致で描いた評伝。筆者がローザに強く共鳴している様子が伺われる。2024/02/26