出版社内容情報
シンガポールの建設者として知られるラッフルズ。
自由主義の理想に燃え自由な交易空間を作ろうと試みた彼がもたらした近代が,東南アジアの海の世界をどのように変えたのかを描く。
内容説明
シンガポールの建設者ラッフルズは、フランス革命でヨーロッパが激動した時代、自由主義の理想に燃えてアジアに赴いた。ラッフルズは、ジャワでは農民を封建領主から解放し、シンガポールでは海賊や奴隷制を排除して自由な交易空間をつくろうと試みた。彼を迎えた東南アジアには、豊かな海の交易世界と華人やムスリムなど多様な人びとからなる折り重なったネットワークが広がっていた。ラッフルズがもたらした「近代」は地域や人びとをどのように変えたのだろうか。
目次
ラッフルズとシンガポール
1 アジアの海へ漕ぎだすイギリス人
2 自由な世界を求めて―ペナン、ジャワ、スマトラ
3 近代都市シンガポールの建設
4 啓蒙思想とマレー人社会
5 ラッフルズがもたらしたもの―その後のシンガポール
著者等紹介
坪井祐司[ツボイユウジ]
1974年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専攻、マレーシア近現代史。現在、名桜大学国際学群上級准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
12
今から200年前、シンガポールの歩みは始まった。その第一歩を踏み出したのがラッフルズ。彼が持ち込んだ自由主義や啓蒙思想という「近代」が当地の社会をどう変えたのかみていく。ただこの人、シンガポールだけじゃない。マレーシアやインドネシアにも足跡を残す。さらにボロブドゥールを発見したり、ナポレオンに会ったりしてる。すごい!2024/05/25
中島直人
4
(図書館)名前しか知らなかったラッフルズ。19世紀という時代の制約の下ではあるが、東南アジア世界において、一つの理想的な社会を想像した。2022/08/03
sovereigncountr
1
フランス革命後の自由主義思想の拡散という観点からラッフルズを東南アジア史に位置付ける良書。細部には事実関係の不確かな点が見られるが、全体としては非常によくまとまっている。2023/04/10
samandabadra
0
ホテルやディック・リーの「ラ・サ・サヤン」の歌詞などにその名が残る人物だが、実はそれほどシンガポールに滞在していなかったということは知らなかった。ただ、シンガポールが、中国系、インド系、マレー系などを振り分ける形での街づくりをしたことなど、40代でなくなったとは思えないぐらい、そのインパクトを明確に残していることも記述の通り。肯定的な評価が多かったが、影の面はなかったのか、子供用の伝記ではないので、そんなことも知りたいとは思ったが、ナポレオンに会いに行ったりしたという話は余談ぽいが面白かった。2022/03/20