内容説明
フランス革命の激動は国境をこえて、ヨーロッパを揺るがしていた。革命の終着点が見えないなかで一人の青年将軍がフランスの救世主としてあらわれる。神話化されたナポレオンの実像に迫るのはいまだに困難であるが、近年の研究によって当時の統治システムや社会の具体的な様相がかなり解明されてきている。近代世界の揺籃期に登場した英雄の事業を、明らかとなった歴史的背景のなかでとらえ直してみたい。
目次
英雄か独裁者か
1 コルシカとフランスの間で
2 共和派の将軍
3 革命の後始末
4 帝政への道
5 大陸制覇
6 没落と神話化
著者等紹介
上垣豊[ウエガキユタカ]
1955年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻、フランス近代史。現在、龍谷大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まふ
120
ナポレオンの一生についてコンパクトにまとめられた好著。バルザック、スタンダール、ユゴーなどを読むときに欠くべからざる時代背景知識が得られる。コルシカ島のフランスへの割譲に伴い、パリの士官学校を卒業してフランス陸軍で活躍し、フランス革命以降頭角を現し、イタリア遠征、エジプト制覇で一躍英雄となって戻り、1899年第一頭領に就任以降皇帝への道を歩む。フランスの社会経済文化を底からひっくり返し作り上げた(理科系に強く自己PRの得意な)ナポレオンという男の栄光と挫折を一通りなぞることができた。2023/12/02
MUNEKAZ
14
ナポレオンの政治家としての功罪を知るには良いブックレット。いろいろと評価は分かれるが、結局のところ「革命を終わらせた」ことを肯定的に見るか否定的に捉えるかの違いが大きいと思う。民法典をはじめナポレオンが遺したものは多いが、同時に革命の大義を盗み、際限なき領土拡大戦争に乗り出したようのも事実。革命の成果がすべてナポレオンの業績で上書きされ、「伝説」が後世に残っていく。もっと小者な人物ですら評価が割れるのに、ナポレオンほどの巨人ならば言わずもがな。正邪に捉われず、歴史を多面的に見ることが大切ということ。2023/08/11
中島直人
1
(図書館)読了2021/08/06
ミカド
1
ナポレオンの生涯についてまとめた伝記。少ないページの本ではあるが概略はつかめる。イタリア遠征、エジプト遠征など軍事的名声もさることながらフランス民法典、フランス銀行の設置等内政面での活躍にも目を見張るものがある。なるべくして皇帝になったのであろう。2017/05/09
徒花
1
個々の戦いについて詳細に述べられていないのは残念だが、ナポレオンの生涯を簡潔かつ客観的に淡々とまとめられているのでわかりやすい。ただし、個人的には脚注の付け方に疑問符がつく。人名とかばかりに説明がついて、もうちょっと説明してほしい用語は無視されていたので、ところどころ自分で調べながら読んだ。それから、もう少し地図とか勢力図とか、視覚的にわかるような要素を組み込んでいればなおよかった。2016/01/09
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