出版社内容情報
中野 勝郎[ナカノ カツロウ]
著・文・その他
内容説明
だれもが知っている名前であるのに、どういう人物であったのかはよくは知られていないワシントン。王のいない政体である共和政は当時では革命的であった。革命家のイメージからはほど遠いワシントンであるが、なぜ彼は革命的な政体の大統領に就任したのだろうか。ワシントンの身の処し方・公務の果たし方にふれることで、独立したアメリカがめざした共和政(デモクラシーではない)とはどのような特質をもっていたのかを考察していこう。
目次
ワシントンって、だれ?
1 ヴァジニア人、イギリス人、アメリカ人
2 フィラデルフィア会議
3 大統領制
4 大統領ワシントン
著者等紹介
中野勝郎[ナカノカツロウ]
1958年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学、博士(法学)。専攻、アメリカ政治史・政治思想史。現在、法政大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
ワシントンってアメリカ初代大統領として誰もが知る存在だけど、んじゃ何した大統領なのと聞くと意外と見えてこない。むしろジェファーソンやハミルトンの方が政治家としては目立っている。それじゃお飾りだったのかというとそうではなくて、共和政ローマを理想とし、自らの「徳」で共和国をまとめようとした稀有なリーダーの姿が浮かび上がってくる。戦争の英雄から独裁官にもならず、王の如き終身大統領にもならなかったのが一番の功績なのかも。イギリス流の王のいる共和政ではない、大統領のいる共和政という新たな形を築いた人物である。2024/02/25
ジュンジュン
11
ワシントンの偉大さは二つの辞退だと思う。独立戦争後の総司令官の辞任と、大統領三期目の辞退。軍事的英雄がその名声と力を背景に権力の座に就くことも、カリスマ的指導者が長期政権を樹立、やがて世襲化することも往々に起こりうる。未だ共和制が定着していない社会で、接着剤となりえる人は彼以外にあり得なかっただろう。2023/02/26