出版社内容情報
なぜアステカ王国とインカ帝国は短期間のうちに征服されたのか、征服者コルテスとピサロに焦点を合わせながら答えを探る。
安村直己[ヤスムラナオキ]
青山学院大学教授
内容説明
アメリカ大陸の「発見」は征服に直結しない。広大な領域をスペインの植民地としたのはコルテスとピサロだった。彼らは高度な文明を有したアステカ王国とインカ帝国をわずかな手勢でもってどのように征服したのか。これだけの功績をあげた二人がその夢をはたせずに死を迎えたのはなぜなのか。当時のスペインの政治・社会情勢、カリブ海での経験、先住民社会の内部事情、征服者内部の対立、国王カール五世の思惑から、これらの疑問の解明を試みる。
目次
世界史のなかのアメリカ大陸征服
1 征服までの道のり
2 アステカ王国の征服へ
3 パナマ、カハマルカ、クスコ
4 王室の介入と夢の挫折
5 征服から内戦へ
歴史の審判
著者等紹介
安村直己[ヤスムラナオキ]
1963年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻、ラテンアメリカおよびスペイン帝国の社会史。現在、青山学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中島直人
15
(図書館)先住民側に寄り過ぎるのではなく、また、征服者側に寄り過ぎるのでもない、バランスの取れた考察。ただ、思ったより画像が乏しく、文量的にも物足りない。2018/05/21
てれまこし
7
マキァヴェッリと同時代人である新大陸の「征服者」コルテスも運命の女神という比喩(?)を介して世界を見ていたらしいので、ちょっと調べてみたが、やはりサラマンカ大学でイタリアに留学した先生について学んだことがあって、不遇だった晩年は自宅のサロンを人文主義者に開放している。コルテスもピサロもイダルゴと呼ばれる下級貴族の子(ドン・キホーテと同じ階級だ)で、国家が統一されたスペインではイタリアか新大陸に行くしか出世の機会がない。で、やはり、新大陸でチェーザレ・ボルジアばりの陰謀と裏切りで新君主を目ざしたものらしい。2024/04/24
MUNEKAZ
4
コルテスとピサロについて。コンキスタドールを代表する二人だが、その出自や征服の方法、失脚の経緯まで対照的な部分が多いのは面白い。ただ二人ともそれまでの「奴隷狩り」や「略奪」といった一過性のものから「征服・支配」へと転換したことが、その後の歴史に大きな影響を与えたのである。またアステカ帝国やインカ帝国も征服王朝であり、内部に不満分子を多く抱えていたことが、スペインの征服活動に有利に働いたことも興味深かった。2017/05/24
はと
1
★★★/自信に溢れ陽気なコルテスと、コンプレックスを引きずる陰気なピサロ、といった印象。二人の果たした世界史的意義は、きわめて大きい。2017/02/13
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