内容説明
インドにムガル帝国を創設したバーブルは、その故国ウズベキスタンで、日本における織田信長にも匹敵する人気を誇る。バーブルの人気の秘密、バーブルの回想録『バーブル・ナーマ』の面白さ、バーブルの時代の特質、バーブルが生まれ育った「シルクロード」の実像。
目次
本を手にもつ君主
1 バーブルの時代の政治勢力
2 バーブルの生涯
3 文人としてのバーブル
4 バーブルの人間性とその時代性
著者等紹介
間野英二[マノエイジ]
1939年生まれ。京都大学文学部卒業。同大学文学研究科博士課程所定単位取得退学。専攻は中央アジア史。現在、龍谷大学客員教授、京都大学名誉教授、博士(文学)。主要著書『バーブルとその時代』(松香堂2001,日本学士院賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
31
東洋文庫「バーブルナーマ」を読んでて、状況整理できずにいたら、編者によるガイドがあると知り飛びついた。100ページに満たぬ本なのにとてもスッキリとまとめられていて凄い。そして、バーブル自身の文章のほうをもっと読み進めようという気にさせてくれるのも素晴らしい。◇後の二代皇帝フマーユーンへの書簡がいい。「おまえは文章に凝りたいといっていますがそのために文意が不明確になっている。今後は…明快な言葉を使って書きなさい…読む者の苦労も少なくてすむ」。読み手の状況想像して書く皇帝。それも遊牧民の覇者なのだから面白い。2018/09/03
かごむし
26
「バーブル・ナーマ」というバーブルの自伝のようなものを読む準備のために手にとった。わずか88ページの本であるが、非常に役に立ったと思う。著者は織田信長を引き合いに出すが、まさに15世紀末、戦国時代と言うべき国際的緊張の高まる中央アジアに生を受け、11歳で父の急死により地方領主となるバーブル。そして即位後、父方の伯父からも、母方の叔父からも、領土併呑のための侵攻を受ける。バーブルはこの波乱万丈の人生の出発から、インドでムガル帝国の創設者となる勇猛な武人であり、優れた政治家であるという輪郭がつかめてよかった。2016/09/27
崩紫サロメ
23
バーブルの伝記であるが、間野英二の著書だけあり、その回想録『バーブル・ナーマ』自体を読む解くための入門書とも言える。『バーブル・ナーマ』に描かれている少年への初恋、苦難の日々、息子への想いなど様々な側面が紹介され、邦訳を読みたくなる。書名、構成、欠落部分、使用言語、校訂本、邦訳に関しても簡潔に記されており、一次史料を扱うことの難しさや面白さが伝わる。リブレットのあり方についていろいろ考えるが、「史料を読むことの面白さ」が伝わるのは良書と言えるのではないだろうか。2021/02/15
かごむし
20
「バーブル・ナーマ」という本を読むために再読。バーブルさん(正式名称:ザヒールッ・ディーン・ムハンマド・バーブル)の人となりを知るための入門書である。一度目はどの都市も、どの人も、聞いたことないような名前ばっかりだったから、ふわふわと読んできたけれど、二度目ともなれば、勝手知ったるような顔をしながら、中央アジアを闊歩している。まとまった知識を得るためには、小学生が読むような易しい本を二度読むとよい、と言った人がいるが、この本は読みやすいのに軽くなくて、よい教科書となっている。装備も整ったし、行ってきます。2017/04/17
スプリント
9
ムガル帝国については歴史の流れの中での知識しか持ちあわせていなかったので創設者バーブルに焦点をあてた本書は大変興味深く読みました。実生活や自己の心情などを赤裸々につづった回想録を残していることに驚きました。2015/03/28
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