内容説明
明朝を滅ぼした反乱軍の指導者李自成は、ときに王朝を武力で打倒した歴代流賊のなかでも悪質な流賊で許されざる存在といわれ、ときに偉大な農民戦争の指導者と評された。彼が反乱を起こした時代背景、時代に翻弄され皇帝まで登りつめ、1日にして挫折したその軌跡を追う。
目次
明代という時代
1 陝西流賊に参加
2 大流動期の李自成とその集団
3 政治権力(襄陽・西安大順政権)の樹立
4 北京大順政権の樹立と崩壊
5 中国史と李自成
著者等紹介
佐藤文俊[サトウフミトシ]
1938年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、文学博士。専攻、中国明清政治社会史。元筑波大学大学院歴史・人類学系教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
4
李自成集団の成立から滅亡まで、その背景を含めてかっちりとまとめている。明を興した朱元璋との対比も面白い。李岩や陳円円については史実から離れた伝承の部分ももう少し言及してくれてもよいと思ったが、リブレットの紙幅にそこまで求めるのは酷か。2015/07/27
電羊齋
2
時代背景、李自成の生い立ち、李自成集団の組織形態、李自成集団の拡大、明朝の流賊対策とその失敗、大順政権の成立とその瓦解までをコンパクトにまとめている。惜しまれるのは、清朝側の人名表記に難があること、そしてその他の用語についても誤字が散見されること。しっかり校正してほしい。2015/08/19
ぞ
1
李自成の人物評。 個人的に彼自身を扱っている本はあまりないような 気がしているので、痒いところに手が届いた感じがする。明末の内憂外患の様、明朝滅亡後の覇権争いだけでなく、どういう勢力を彼が率いているのかを知れたのは大きい。中国行く前に是非とも。
宣和堂
1
李自成について通り一遍の知識を得るのには手軽でいい本だと思う。ただ、清朝に関する用語に関しては正直校正したのか疑うレベル。2015/06/29