内容説明
13世紀、マルコ・ポーロは地中海世界から陸路で中国へ到り、異国に十数年滞在したのち、海路で故国に戻った。そして希有の記録『東方見聞録』を残し、それによって歴史上もっとも有名な人物の一人となった。しかし、その記録は自らを語ること少なく、その人物像はなかなか窺い知れない。本書では、あらためてその記録を深く読み解き、とくに異国におけるマルコの姿に光をあてた。
目次
マルコ・ポーロの資料としての『東方見聞録』
1 父ニコロと叔父マテオの第一次東方旅行
2 フビライ宮廷のマルコ
3 マルコの帰国と『東方見聞録』
著者等紹介
海老澤哲雄[エビサワテツオ]
1936年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科博士課程中退。元帝京大学教授。博士(文学)。専攻、モンゴル帝国史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
11
昔 NHK のアニメを見てたはずなんだが、まったくなにも覚えていない。。キャプテン・フューチャーも歌しか覚えてない。。コナンを忘れてないのは、なんども再放送みてるからなんだろな。。(いまも見てるし)2020/08/21
ジュンジュン
4
有名人マルコポーロ。実像に迫ろうにも、東方見聞録にしか記されていない謎の人。話を盛っている箇所などは等身大の姿を窺えて微笑ましい。2020/03/04
電羊齋
4
『東方見聞録』と『元史』等の他史料を照合し、裏付けの取れる部分と誇張された部分を示しており、面白く読めた。マルコがフビライのケシクに属していた可能性、フビライ宮廷の事情など興味深い内容が多い。そして、『東方見聞録』に導かれて旅立ったコロンブスが、パトロンのイザベラ・フェルディナンド両王から「大カーン」宛の書簡を託されていたというエピソードは印象的。コロンブスは「大カーン」への使者でもあったのか。2016/08/18
さとうしん
4
『東方見聞録』で、他の同時代史料によって照合が可能な部分のほか、マルコ・ポーロが話を盛ったと思われる部分や、主にカトリックの信徒や僧侶が読むことを意識した部分などを指摘。近年流行のマルコ・ポーロが中国に行っていないという説については言及されていないが、本書を読む限りは、依然として同時代史料として有用かつ独自の価値を具えているということになりそうだ。2016/01/13
さぶろうの領土
3
今年は『東方見聞録』を読むつもりなので予習のつもりで読んだ。本書には・父と叔父による「第一次東方旅行」の概要・マルコを含めた三人での「第二次東方旅行」の概要・三人とフビライとの関係・『東方見聞録』とその他の資料との齟齬とその解釈。などがざっくり解説されている。『東方見聞録』の記述に関して、別の資料などを引き合いに出しながら、これは誇張表現ではないかとか、これは何々の効果を狙って事実を改変したのではないか、などの解説も書かれていて、非常に読みやすい『東方見聞録』を読む準備ができた気がする、多分。2023/01/05