内容説明
サラディンはイスラーム圏の広大な部分を再統合し、聖地イェルサレムを奪回した人物として、中東ではその栄光と人気が現在でも強烈である。また西洋においてもムスリムの啓蒙君主として描かれてきた。何世紀もの間、サラディンはこの神秘的なイメージに包まれてきた。現存する史料は時代をつくったこの人物のことを、軍事的功績以外のことについても比較的饒舌に語ってくれる。本書は、それらの記述を背景にサラディンとその時代を描く。
目次
イスラームの英雄サラディン
1 アイユーブ朝の創設
2 サラディンの改革
3 イェルサレムの奪回
4 ワクフ政策
5 サラディンの評価
著者等紹介
松田俊道[マツダトシミチ]
1952年生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程中退。専攻は中世エジプト史。現在、中央大学文学部教授、博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
5
サラーフアッディーン(信仰の正しさ)こと、サラディン。十字軍に対する聖戦(ジハード)に捧げた生涯を描く。寛大公正というイメージも事実のようだ。反面、自身が創設したアイユーブ朝の体制づくりには冷淡、結果80年ほどで滅亡。いっそ気持ちがいいほどの英雄っぷりだ。2020/04/21
ぽんすけ
3
イスラームの大英雄サラディン。バイバルスの次に好き。本書はサラディンの行った政策について取り上げられている。代表的なものとしてイクター制の実施やワクフによる支持基盤の確立がある。彼はアイユーブ朝の創始者となったわけだが、国家歳入の84%が軍事費に費やされたというのだから財務大臣はさぞ大変だっただろう。又彼はその後人生を十字軍相手のジハードにかけていくわけだが、エルサレムの奪還の際無用な虐殺を一切行わなかった。十字軍側が常にムスリムを虐殺したのと対照的である。彼が西欧側からも尊敬されたというのがよくわかる。2020/12/18
ottohseijin
2
「ジハード」ですな。2015/04/20
源次/びめいだー
1
ページ数は少なめですが、サラディンについてよくまとまって書かれていると思います。サラディンの業績について、正負両側面から評価している点も良いと思います。2016/04/12
mazda
0
サラディンの人となりではなく、信仰の立場とか、同棲導入した制度てかにスポットライトを当てたら稀有な書物。 じゃあサラディンなんて人の名前なするなってえの! 久しぶりに最低の本。2020/05/24