内容説明
ポンペイウスとの内乱に勝利してローマの最高権力者となったカエサルは、内乱で敵対した貴族たちに対し宥和を試みるものの、自由と伝統を破壊する者として彼らから恐れられ、憎まれ続けた。本書はカエサルを転換期のローマ社会にあらわれた一つの現象としてとらえ、貴族仲間に憎まれた「英雄」の一生を追う。
目次
貴族仲間に嫌われた「英雄」
1 共和政末期のローマ社会
2 歴史の舞台への登場
3 最高位の顕職をめざして
4 最高権力者への道
5 破局、そして神となって
著者等紹介
毛利晶[モウリアキラ]
1947年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。マールブルク大学で博士号(Dr.phil.)取得。現在、神戸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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S.Mori
12
ローマの英雄カエサルの生涯を描いた本です。複雑なローマの政治体制や権力闘争が分かりやすくまとめられています。カエサルが台頭した共和制末期はコンスル、護民官、大神祇官など地位の高い役職がいくつかあったことが分かります。野心家のカエサルは当然それらの地位に就くことを目指しました。闘いに次ぐ闘いで気の休まる時がなさそうな人生です。権力の独占を目指す反面、農地法などの身分の低い兵士などにも役立つ法律も制定します。権力の亡者と改革者の二面性を持つ英雄ではないかと思いました。2019/12/19
ピオリーヌ
10
カエサルを貴族仲間から嫌われた存在として書く。大神祇官に選出される際の莫大な借金をしての票の買収を通して、オプティマテス(元老院による集団支配体制の維持を目指す人々)の反感を買っていく姿が描き出される。筆者はカエサルを「政局を鋭く読み解き、すばやく果敢に行動する能力では当時の政治家・軍人のあいだでは群を抜いていたけれども、腰を据えて新しい体制を作り上げるための忍耐も、そしておそらく能力も彼にはなかったようだ」と纏めている。2022/01/28
ジュンジュン
6
リブレットは予習に最適。共和制から帝政へ、都市国家から帝国へ、古代ローマの転換点の中心ユリウスカエサル。本書で、彼の基礎知識を押さえることができる。2020/10/07
中島直人
6
(図書館)薄い。主旨が、はっきりせず、何が言いたいのか分からないまま終わってしまった。画像も少なく、全く面白くない。2019/02/13
中島直人
5
再読。カエサルの生涯を粗く辿ることは出来るけど、浅くて得られるところは少ない。2022/09/21