内容説明
産業革命はなぜイギリスで最初に起こったのだろうか、産業革命はどのような意味で革命的なのか、そして産業革命は人びとの生活にどのような影響を与えたのだろうか。本書は、最新の研究成果に拠りながら、こうした問題に答えることを課題としている。
目次
新しい産業革命像を求めて
1 「産業革命」の誕生
2 大いなる分岐
3 最初の産業革命
4 産業革命という経験
5 世界史のなかの産業革命
著者等紹介
長谷川貴彦[ハセガワタカヒコ]
1963年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。専攻、近代イギリス史。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コウメ
53
まだ歴史を学んで日がすごく浅くて全てはわからないけど、前から知っていたジョセフ・シュンペーターやアーマルド・トインビーなどがでてきて驚きが隠せなかった。特にアーマルド・トインビーは名前しか知らなかったがまさか産業革命という言葉?意味?は当時のイギリス人にはなくそれを国民の人々に「産業革命」という意味を認識させた人物。産業革命には様々な要因があると作者はあるとして、書いてあるけどありすぎてわからん。(笑)ある程度歴史を学んでからもう一度読む1冊。2020/07/09
サアベドラ
16
産業革命の近年の研究状況とその成果の簡潔なまとめ。世界システム論、グローバル・ヒストリー、「ヨーロッパの奇跡」と「大分岐」、エネルギー革命に勤勉革命など、産業革命の歴史的位置付けをめぐる諸言説と要点がすっきりと整理されていて大変わかりやすく、頭の中の整理に最適。ただし、産業革命に関して高校教科書ほどの知識にとどまっている人がいきなりこれを読んでも、簡潔すぎてよくわからないかもしれない(たとえば上に並べたワードがほとんどわからんって人には役に立たないかも)。世界史リブレットのなかでも良書といっていいと思う。2016/12/18
まえぞう
15
革命2冊目は産業革命です。イギリスの産業革命が、アークライトの紡績機等の自然に依拠するエネルギー源を活用したものの発明があって、その後の化石燃料の活用によるエネルギー革命が産業革命を加速させたという見方はわかりやすかったです。この本の主要テーマではありませんが、大西洋の三角貿易の話しがでてきます。ヨーロッパからアフリカへ繊維製品、アフリカから新大陸へ奴隷、新大陸からヨーロッパへ砂糖やタバコといった商品作物の流れですが、繊維製品と商品作物という消費物と同じサイクルに人間が組み込まれている異常を感じます。2023/05/12
あなほりふくろう
14
産業革命というものをヴィクトリア期での急激な発展のように勘違いしていたところがあって、そんな認識不足や思い違いを正すことができて良かった。改めて、日本の高度成長時代のまさにお手本をここに見た思い。イングランドの「産業的啓蒙」による結果を同時期のフランスと比較して、結局のところ頭でっかちになったフランス啓蒙じゃ人々の腹は膨れないのかな、なんだかんだで産業や経済を回す方が社会は豊かになるのか、にしてはロンドンの労働者階級って結構辛そうだよな、なんてつらつら思ったり。2013/08/19
組織液
12
産業革命の影響や意義を要点を絞って解説してます。だいたい前半はグローバルヒストリーの観点からヨーロッパとアジアの生産量や技術力の差の変容を、後半はイギリスを中心に産業革命がどのように進み、どのような影響を社会に与えたのかを述べてますね。「有機物依存経済」から「鉱物依存経済」への移行、いわゆるエネルギー革命の存在は知っていましたが思っていたより影響は大きいようです。生活水準論争についてもありましたが、著者は悲観論派かぁ… 個人的に僕は楽観論派の方がしっくり来るんですよね(素人感想)2020/10/28
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