内容説明
紀元前2000~1000年紀の東地中海沿岸。そこは、最古の文明の発祥地メソポタミアとエジプト、アナトリア、シリアなどの諸地域のあいだを、人とモノ、それに文化が活発に交錯する、国際色豊かな世界であった。そして、この東地中海世界こそが、古代ギリシア文明を育んだ苗床となったのである。東地中海世界の片隅に興り、古代オリエント文明の巨大な遺産を受け継ぎながら独自の自己形成をとげた、初期ギリシア文明の軌跡をたどる。
目次
『黒いアテナ』の衝撃
1 ギリシアの青銅器文明とオリエント
2 東西交流の断絶と連続
3 光は東方から―「東方化革命」の時代
4 古典期ギリシア文化の開花とオリエント
著者等紹介
岡田泰介[オカダタイスケ]
1964年生まれ。学習院大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。専攻、古代ギリシア史。現在、高千穂大学人間科学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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組織液
12
古代ギリシアの地域的、歴史的位置付けを再考し、簡単に述べている本です。かつては古代ギリシア、ローマ文明とエジプト、西アジアなどのオリエント文明を全く異質なものと捉える「地中海分断モデル」という考えが主流だったのに対し、むしろ古代ギリシアが「東方化革命」と呼べるほどオリエント、東方から影響を受けていたことが分かりました。確かに自分でもこの地中海分断モデルのような意識が少なからずありましたね。ギリシア人の「富める東方」への憧憬… うーん近代でも聞いたような話だな…2021/06/30
ぽんちゃん
10
うーん、なんと分かりにくい…。ギリシャが優越感を抱くようになった理由だけは面白かった。もっと詳しく知りたいなぁ。当時のイメージがわかない。2015/06/19
みのくま
6
本書は小冊子だが、内容はかなり深い。ギリシア中心史観に対して有効な批判は、政治的主張にならず、かつ古典期ギリシア以前の歴史を発見する事に他ならない。特にミノア・クレタ・ミケーネ文明をどう位置付けるかという点が重要になってくる。いわゆる青銅器文明は、BC13世紀末から12世紀前半にかけて断絶し、暗黒時代を経た後、鉄器文明ポリス社会が到来するわけだが、この断絶をどうつなげていくのかという難問に本書は一定の答えを出しているといえよう。ギリシアのみについて考えると断絶しているが、オリエントを介して継続しているのだ2023/08/18
あっちー
2
図書館本 古代ギリシャ講座をじゅこうするので、さらっと予習のため1週間で読めそうな本を借りたけどギリギリで読了。 ニッチに濃いめの内容でした。 古代ギリシャってどのくらい前だっけ?ってくらい世界史忘れてて、愕然としました…2019/03/09
りっちゃん
0
ギリシャ文明の位置づけの捉えなおし2018/11/29